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慧「山田？」
A「………、」
慧「ヨリ、戻ったんだ。」
A「ううん、そうじゃなくて、」
慧「え、ちげーの？
ちげーのに会いに行くの？
ああ、今から戻しにいくのね。」
伊野尾君はいつもの口調でさらさらと話しているのに、なんだか突き刺さるような痛みがあった。
A「……山田、が、話そうって言ってくれたから、ちゃんと話そうと思っただけ。
別に、どうなるかとか、そんなの考えてないよ。」
慧「話すってヨリ戻す以外何話すの。
ヨリ戻さないなら何も話す必要ないじゃん。
Aは山田とヨリ戻したいんだろ？
だから行くんだろ？
いーんじゃない、Aが山田に未練タラタラなのは分かってたことだし。」
A「………。」
伊野尾君の言葉が突き刺さる。
どんどん落ちていく空の明かりと引き換えに
道の脇の電灯が灯り、さらに暗さが際立った。
慧「でも山田、ほんとにAとヨリ戻す気なのかなー。」
A「………え？」
慧「俺に嫉妬して、不機嫌になって、……キレるからにはAのこと気にはしてんだろうけど。
それって元カノに男が出来たら誰でも気にはなるし、男って別れても『ずっと俺のこと好きなんだろーな』とか思うもんだから、ほんとにAのこと好きでそうなってんのか、分かんねーよ？
ただ他の男に取られたくなくて、惜しくなってるだけかもしんねーし？」
A「………。」
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
