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無意識に1階まで下りてきてしまい、随分と遠回りしながら音楽室に向かって歩いていた。
さっきよりずっと大勢の人が見えるけど、
この広い学園内に私の存在がそんなに大きいはずはなく、もう誰の視線も集まってこないことに、少し胃の痛みが和らいだ。
廊下を真っ直ぐ歩き、
向かいの校舎まで歩いてまた階段を上っていく。
丁度昼休みが終わるチャイムが鳴り、
生徒たちが教室に戻っていって
廊下もだんだんと静かになっていった。
「えー？レギュラーじゃないの？
試合見に行こうと思ってたのにー。」
「1年に早々レギュラーなんかくれねーよ。」
静かな空気に乗って、階段上から笑いながら話す女子の声が聞こえてきた。
それと一緒に聞こえた声は低くて
言葉までははっきりと把握できなかったけど、
階段途中で足が止まったあたり、
誰の声かは瞬時に分かっていた。
そっと上を見るとちょうど階段の折り返しの踊り場に、その姿は見えた。
あいつの後ろ姿と、
その向こう側に隠れてるスカートの端。
A「………、」
もう今更、あいつが誰と、
何をしていようと何も思わない。
こんなところ、よく見るし、
それを私が気にする道理はない。
だから、そのまま階段を上がって
後ろを通り過ぎてしまおうと思った。
.
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
