メルトサマー…Ryosuke.Y... (ページ43)

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A「ねぇ翼、行くよ？」

翼「ちょっと待って、
ねぇ誰に呼ばれてったの？」

翼の頭の中にはもう私の入り込む余地はなく、
ねぇねぇ、とその人たちに付いて行ってしまった。

私に背を向ける翼をどうすればいいのか。

一緒に話を聞きたくはない。

A「翼、」

翼「ゴメン、先行って！」

一瞬振り返って、
翼はまた情報収集に夢中になった。

仕方なく一人で教室を出て、
まだ細かな視線が集まる中を歩いていく。

私の周りには大勢の人がいるのに、
私はそのどこにも関われずに
その真ん中を一人歩いていく。

なんだかとても寂しい人になったようだ。

孤独は一人きりのときに感じるのではなく、
大勢の中で居場所がないときにこそ強く感じる気がする。

このまま音楽室に着いたところで、
その何処にいればいいのか。

大人しく椅子に座って授業開始を待って、
また周りから妙な視線が集まる中、ただ俯いて。

歩いていく途中、少し先に伊野尾君の姿が見えた。

私と彼は同じ状況なはずだけど、伊野尾君はいつもと変わらず友達と接している。

上手に周りと混ざれている。

私だけだ。
ヘタクソなのは。

私はくるりと矛先を変えて、階段を下りて遠回りして音楽室に向かうことにした。

時間も潰れて、丁度いい。

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