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それから直ぐに先生が入ってきて、
教室は整然とする。
簡単なテストするぞー、とプリントが配られて、
みんながええー、と項垂れたときには元の空気に戻っていた。
前からプリントが回ってきて、
でもあいつはまたしつこく寝ているようだから、
一枚だけ机の隅に置いて、もう一つ後ろの子に届けた。
「そこ、誰だ？山田か。
こら山田ー、起きろー。」
先生が前から声を掛けても起きやしない。
さっきからまるで、
わざとそうしているみたいだ。
みんながまたこっちを見ながら
ひそひそ笑っている。
「山下、後ろのやつ起こしてやれ。」
嫌です。
と心の中で即答したけど、流石にもう口には出せず、私は少しだけ振り返り、真後ろで伏せているさらりと流れる少し傷んだ髪を見た。
A「……起きなよ。」
騒めき残る教室で、何分の一かも分からない私の声は、他の誰にも聞こえなかったくらいの囁かさで生まれて、消える。
動かない頭は、少し経って、
もぞ、と動き、私は前に向き直した。
「よし、じゃあ始めるぞ、」
静まった教室に、みんながシャーペンをカチカチ、紙にすらすらペンを走らせる音が細かく響く。
後ろでは漸く、ペンケースからペンを取り出したらしい音が聞こえた。
早く、席替えがあればいい。
もうこれが最後。
二度と声なんてかけない。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
