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…あいつにしては、珍しい。
眠りは浅い方なのに。
って、何考えてんの。
私には関係ない。
知らない。
どうでもいい。
そして、後ろでガタリと机が揺れる音がして、翼があの明るい声で、やっと起きたー、と笑って。
周りのみんなも一緒になって笑って、
男子のガヤが騒がしくて。
翼「すごい熟睡してたね、疲れてるの？」
涼介「……。」
翼「あれ、まだ寝ぼけてる？起きてー、」
先生が来ない教室はまだ笑い声が広がっていて、
その中心はまさに後ろの席。
でも、後ろのあいつは、
誰よりも静か。
涼介「…………せぇ、」
翼「え？」
あ、ダメ、翼、
離れたほうがいい。
涼介「…うるせぇっつの。」
大きくも、小さくもない、最高に不機嫌な声が、
充満していたクラスの騒々しさをかき消した。
少し間をおいて、翼が幾分かトーンの下がった声でゴメンってー、と笑って、
でもそれも無視したあいつがまた机に伏せたんだろう、ガタリと揺れる音をまた背中で聞いた。
翼が怒られちゃったー、と
私に泣き声で言って、席に戻っていった。
騒めきを取り戻したクラスは、
さっきよりずっと小さな声で、
ひそひそ、私の後ろの席を見ながら話している。
おー、珍しく機嫌悪りぃなー、なんて笑っているのは、中等部からあいつと仲の良い男子達くらいだった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
