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会いたくて会いたくて、堪らなかった。
それでも、あいつがくれた番号に電話をかけることはどうしても出来なかった。
したいけど出来ない、
終わって欲しいけど会いにくい、
今まで10数年生きてきた中で
一番長く感じ、苦しんだ夏休みだった。
そして、
夏が終わろうとした2学期の始まりの前日。
結局貰った番号は活用出来ないまま寮に戻って、
気持ち涼しくなった夏の夜。
会いたいけど会いにくい。
でも明日になれば確実に学校で会う。
でもそれが嬉しいような怖いような、なんて。
……恋をするということは、本当に疲れる。
とにかく電話出来なかったことをどう説明しようかと悶々悩みながら食堂へ向かっていたら、突然後ろからバコン、と殴られた。
なかなか痛かった頭を押さえながら、
バッと振り返った其処に。
涼介「男でも出来たわけ？」
A「やまっ……はっ？何言ってんの？」
それはそれは、怒った顔で
私を見下ろすあいつがいた。
あいつは普段から、恐ろしく整った顔のせいか、普通にしていても怒っているみたいな顔をしているけど、その無駄に落ち着き払った表情がより一層怖かった。
涼介「男出来たのかって聞ーてんの。」
A「だから、何でよ。
そんなの出来てるわけないじゃん。」
涼介「は？……じゃあ、聞かせてもらおーか。」
A「な、何を？」
私を殴ったお盆を片手に、あいつはまた私の手を掴んで、夏休み前にマジックで書き付けた掌を見た。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
