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大貴「何?貧血?顔すげー青白かったけど」
A「…かなあ。健康には自信あったんだけど」
そう笑って言ってみたものの、どうも上手くいかない。
私の弱々しい笑いに有岡は眉をひそめた。
大貴「自覚症状ないだけじゃねーの?おまえ明るいけど、色々内に溜めこみそうなタイプだもんなー」
(何、私ってそんな風に見えるの?)
反論しようとしたけど、有岡はそのまま続けた。
実にさらりと。
大貴「あいつのこと好きなんだろ?誰だっけ、あいつ。確かD組の……」
A「なーーーーーー!?
ちょ、待って!何であんたがそんなこと知ってんの?!」
大貴「え、まじで!?俺ってば冴えてるー」
A「…え……?
…もしかして私カマかけられました?」
大貴「ん?うーん…半分?」
ニヤッとする有岡に私はさっきとは異なる種の脱力を覚えた。
A「…真面目な話、何で分かったの?」
大貴「えー?なんか様子が変だったから?何かと思ってAの見てる方見たらそいつらがいるわけじゃん。ふーん、なるほどね、って感じ」
聞いてみれば実に単純な話。
自分がそんなにおかしかったんだ、ということが情けない。
A「…言っとくけど、好きなんじゃないよ。別れたもん。振られたんだけど」
あなたと同じ日にね、と心の中で続ける。
大貴「ふーんそっか、元彼かあ。別れたのいつ?」
A「二ヶ月前。三年になったばっか」
それを聞いた有岡はもう一度、ふーん、とだけ言った。
自分に関して思い当たる節はないのだろうか。
それとも上手く隠してるだけ?
その特に変化のない表情からは何も分からなかった。
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作者名:環 | 作成日時:2018年1月26日 17時