私の推しは久々知兵助くんだが、今告白されてるのは竹谷八左ヱ門くんで…あれ〜？漆っ！

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藁にもすがる思いで
勘右衛門の方も確認したが
勘右衛門が連れてきたのは【乱太郎】だった


ことごとく俺の希望は簡単に
兵助の手によって残酷に折られていく


しかし、それよりも俺が【辛い】のは



【痛い】のは



















『Aの表情だ』



Aは兵助がゴールして
くの一教室の子と話している姿を見つめていた
その表情が




ずっと見てきた俺でも
これまで一度も見たことがないものだった




何かの【痛み】を
【苦痛】を堪えるような

泣きそうなのに怒っているようで
叫びたいのに叫べなくて
そんな顔をしていた


はっきり言って可愛いものじゃない



けれどその表情になる理由が
俺にはどうしてもわかってしまう

Aは兵助がくの一の子と楽しげに会話していることに【嫉妬】しているのだ


自分の後輩にだぞ
俺だって流石に孫兵にまで嫉妬はしない
それでもAは確実に普段可愛がっている自分の後輩でも嫉妬の感情を隠せずにいる





『そんな表情するのか』







『兵助のことでしか見れない
お前がいるというのか』






『俺じゃ見れないのか』






ダメだ
そんなのダメだ

二人が両想いであることも
それをお互いが知ることも




ダメだ
認められない
許せないっ!!!!!!!!!!!!!






取り戻したいAを
俺の手にっ!!!!!!!!!!!





兵助がこちらを向こうとしたその前に
俺はAの手を掴んで
自分の胸へとAを兵助から隠すように
見せつけるように抱きしめる







「好きだよA」




告げた瞬間
周りが騒ぎ出し、実況では俺たちのことについてご丁寧に説明してくれている
別にこんなのいつものことなのにな
何も知らない奴らはお気楽だ



でも、ごめんな
これはいつもみたいにお前に気持ちを伝えたくって言っているんじゃない




「好きなんだ
この世で誰よりも俺が
Aのことを一番好きだ」



そうやって自分に呪いをかけるように
自分に言い聞かせるように
酷く脆くて弱い自分を守るために




「Aが俺の【好きな人】だよ」






嗚呼、兵助



















『ごめんな』

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