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少年は私たち二人のやりとりを眺めては
微笑みを浮かべて
「兄ちゃん達ありがとう!!」と三郎くんの手から簪を受け取り、私たちの元から去っていった
隣の三郎くんは少年の背中を口ではまた憎まれ口を叩きそうだけど、それはそれは嬉しそうな目で見つめていた
そんな彼を見て、私は「優しいですよね三郎くんって」と言えば
三郎くんは「それ、お前が言うと嫌味に聞こえるぞ
このお人好し」と何故か呆れた顔をして返事が返ってきた
そんな風に思ってたんだ私のこと
と私は内心
彼のこの言葉に少し驚いた
だって私は別にお人好しというわけではないからだ
彼がそう感じる理由があるとすればただ一つ
「違いますよ
別に私、お人好しとかでも
優しくともなんともなくて」
「嘘つけ
いつも後輩達や先輩達の面倒ごとに巻き込まれてるくせに」
「私が優しい人間に見えたのなら
それは光栄ですけど…
私、自分が好きな人達にしか優しく出来ないですよ?
本音を言うとそれ以外の人たちがどうなろうと
別にどうでもいいので」
あ、余計なこと言ったかも
と気づいたのはその言葉を発した後で
でも、今言ったことは私の本音
素直な気持ち
本当の私の素性である
だって忍術学園の皆や家族といった好きな人たち以外の人間にまで優しくできる度量を私は持ち合わせていないんだもん
好きだから優しくしたいし、それで少しでも私のことも好きになってくれたら嬉しい
それが私という人間であるため、
だから先程の少年の一件も
私は同情まではしても、助けようとまではしなかった
けれど、三郎くんは見返りも何もかもを考えずに
ただ少年に優しくした
そんな彼の方が百倍も、いや私とは比較にならないくらい優しい人だと思う
「だから三郎くんは本当に優しい人ですよ
素晴らしいと思います」
う〜ん、これは
また『お前嫌い!』攻撃されてしまうかな?
まぁ、でもしょうがないかぁ…
と思いながら
彼の表情を伺えば
私の予想とは反して
彼はとても落ち着いていた
いや、むしろ穏やかという言葉が
この場に相応しくないかもしれないけれど近い気がするくらいだ
そして、彼が少し考えてから
私に向けた言葉を口に出す
「…お前が言うこともそれはその通りなんだろう
けど…お前もきっと私と同じことをしたと…
私は思う」
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有栖川鳴花(プロフ) - エッっっ?!今日全シリーズ5周目読み終わったと思ったときに通知きて更新でビビりました。やーん大好きですこれからも陰ながら応援しています〜!! (3月26日 22時) (レス) @page23 id: 6949a73177 (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - この作品本当に大好きなので久々の更新嬉しすぎます…!!これからも頑張ってください✨ (3月26日 22時) (レス) @page23 id: 1b249669ed (このIDを非表示/違反報告)
りん - 応援してます!更新頑張ってください!! (2月11日 23時) (レス) @page21 id: 5973ca5896 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - ここまでずっと愛読してきましたがこの回だけはずっと忘れられません!最近あまり投稿されてなさらないようですがこれからも頑張ってください!これからもきゅんとするようなお話待ってます! (11月19日 22時) (レス) @page6 id: ccdd90d567 (このIDを非表示/違反報告)
えびてん(プロフ) - ゆずこしょうさん» ゆずこしょうさん素敵なコメントありがとうございます…!私もゆずこしょうさんが読み続けてくださることがとても幸せです…!応援の分も精一杯頑張ります…! (9月5日 23時) (レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えびてん | 作成日時:2023年6月7日 23時