30 ページ30
ゆっくりとその足音が近づく
何回やってもこの状況には慣れない
ドキドキし過ぎて心臓の鼓動が速くなり止まってしまいそうなくらいだ
「勘右衛門〜？あ…
ごめん勘右衛門見なかった…？」
彼は教室に入ることはなく廊下から顔を覗かし
私を見つけ、申し訳なさそうに問う
御察しの通り
私は勘右衛門とのじゃんけんで案の定
負けたのだ
どうしよう
変な顔してないだろうか
髪は急いで整えたから大丈夫だと思いたいな
でもでも彼の目に私がどう写っているかわからないよね
そんなこと考えてないで冷静にならなきゃ
「…！いいえ見てませんよ
見つけたら久々知君が探していたと声をかけておきますね」
声かけられた瞬間は体がビクッとしてしまったけど
うん…比較的まともな対応ができたと思う
そう思いたい…！
あ〜！！でも名前呼んじゃったよ〜！
気持ち悪いとか思われてないよね…！？
思考はいくら経っても止まることを知らない
すると
「そっか…助かるよ
せっかく俺の豆腐食べてもらいたいのに…
勘右衛門〜？？？」
そう言い、彼は教室の戸を閉め
また勘右衛門を探しに出て行った
彼が行ったことを確認し
私は手で顔を覆う
「は、話しちゃった…！」
食べてもらいたいのに…のにだって…！可愛い〜！
私なんかに対してお礼を言ってくれる優しさ〜！
嘘ついてごめんね〜！
「なぁもう行った…？」
すると勘右衛門が教室の窓から顔を少し覗かせる
なんと彼は窓から教室を出て
久々知君が教室を出るまで壁にしがみついていたのだ
「あっ…行きましたよ」
そう言えば彼はよっこいしょと
軽々、窓の枠へと身を乗り上げ
教室へと舞い戻る
さすが上級生と言うべきなのだろう
そして
「…俺は君と兵助の」
教室に降り立つその瞬間
また何かボソッと呟いたような気がした
「ん…？どうかしました…？」
なので彼に聞いてみる
でも彼は何のこと？というようにこちらを向いて笑う
「ううん
なんでも
じゃあ俺逃げるから
またな〜！」
「あっ…うん
頑張って…？」
勘右衛門は私に手を振りながら久々知君と同じように今度はちゃんと教室の出口から去って行った
男はズンズンという音が廊下に響き渡るように歩いていた
いつもの自分ならばしないであろう歩き方だ
それはまるで苛立ちを隠すかのように
そして男はただ進む道を真っ直ぐ見つめ
誰にも聞こえないように
聞かせるつもりなどないように
こう言った
「俺は君と兵助のこと
応援してるよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 216人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えびてん(プロフ) - ついにこのシリーズ一番最初のお話も星が赤くなり、とても嬉しいです。数多くの人に愛されるような作品になっていれば幸いです。今後とも完成までお付き合い宜しくお願いします。 (2023年3月31日 19時) (
レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
えびてん(プロフ) - 勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡さん» 返事が遅くなってしまい、申し訳ございません。コメントありがとうございます！なかなか更新できていませんがこれからも愛してもらえるように頑張ります！ (2023年2月25日 18時) (レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - え、好き、愛してる💪(･ω･｀)ﾑｷｨ (2023年2月14日 22時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
えびてん(プロフ) - こはるびよりさん» こはるびよりさん、はじめまして！楽しみに読んでいただけて私もとても嬉しいです！ありがとうございます！これからもいっぱい五年生出していきたいと思うのでこれからも応援よろしくお願いします！ (2022年7月7日 16時) (レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
こはるびより - はじめまして、すごく楽しみに読んでいます。とてもおもしろいです！５年生大好きです。これからも応援しています！ (2022年7月7日 16時) (レス) @page45 id: 880b5f123a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えびてん | 作成日時：2022年6月26日 18時
