私の推しは久々知兵助くんだが、今告白されてるのは竹谷八左ヱ門くんで…あれ〜？参っ！【RKRN】

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これも一年生の時だった
俺が左門を時々送り届けるのが会計委員の中でももはや周知の事実となっていた
それでもあの人は毎回丁寧にお礼を言ってくれる

「いつもありがとう〜！富松くん！」

「いえ、では俺はこれで」

「あ、富松くんちょっと待って」

いつものように左門を送り届けて去ろうとする俺を今日は先輩が引き止める

「…？はい？なんでしょうか？」

後ろを振り返って先輩を見れば
一度会計委員が活動している部屋の中に入り
また、俺が立っている廊下へと戻ってくる

「これ良かったら同室の子達と一緒に食べて」

そう言って差し出されたのは
何が入っているであろう巾着
それを俺は両手で受け止める


「…これは？」


中身もそうだけど
なんでこれを俺に？？
あげるなら後輩の左門にあげればいいのに
俺がもらっていいのか？
そう思ってる俺に先輩はただ笑って応える


「金平糖です！
いつも左門を送ってくれてありがとう…！
富松くんには助けられてばかりだから！」


「…！」


それは間違いなく俺のために先輩がわざわざ用意してくれたものだった

嬉しかった

いつも労ってくれることが
嬉しくなかったわけじゃない
もちろん今までも嬉しかった

でもあの時はそれが目に見える形で渡されて
とても嬉しかったんだ


うん、振り返ってみると
ものを与えられて好きになるとか
なんて子供っぽいというか浅はかというか…
今ならそう思うこともないけれど


でも、この時には既に
この人に俺の心奪われてしまった

驚きと喜びと初めて沸いて出た感情で
放心状態の俺を先輩は勘違いして謝罪する

「あ、ごめんね…！
もしかしたら甘いもの苦手だった…？」

「い、いえ…！
ありがとうございます…！大切にします！」

一度は正面からお礼をしてその場を去ろうとし、
もう一度振り返って見た時の先輩のことは今でも忘れられない
あの優しい微笑み、小さな手で俺に手を振ってくれるあの愛らしい姿が脳裏から今も離れない

あの金平糖は同室のみんなで食べてと言われてたけど
俺は誰にもあげたくなくて譲りたくなくて
一つ一つを大切にしながら全部自分で食べた

そして、巾着は先輩に好きな人がいると知った
今でもこうして持ち歩き続けてる

「先輩」

先輩好きな人がいらしたのですね

「先輩っ…！」


俺じゃないことは知ってました
先輩にとって俺はただの後輩ですもんね

苦しくてあの人のことを呼ぶ俺は
気づいていない

「眠れないのか」


後を振り向けばいるあいつのことに

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