有耶無耶2 ページ11
暑さによる体調不良なのか、注意散漫になっていたのか、ただ躓いただけなのか。わからない。わからないが、とにかく今自分が顔から川に落っこちそうになっているのはよくわかっている。せめて膝から転ぶことができればいいのだが、顔面は流石に痛いだろう。それに、これお気に入りの服だったのになあ…。また濡れてしまうだろうか。そんなことを考えていると、突然体が強い力で後ろ側に引き寄せられた。
「危ねーー！！セーフセーフ！間一髪！ってとこだな！」
1ごうの声により、思考が現実に引き戻される。背中から前に腕を回され、抱きしめられるような形で。されるがままの私は、ただただ硬直する他なかった。思わぬ出来事に、「助けてくれたんだ」、と理解するには少しばかり時間がかかってしまったのだ。
「ひっ……怖かった……。ありがとう、落ちるところだったよ…。」
「オマエほんと危なっかしいからなー！マジで気をつけろよー？」
そう言って笑う1ごうの腕は、更に抱きしめる力を強めた。何故かそのままお互い黙ってしまい、数十秒の沈黙が流れる。なんとなく気まずくなった私の声と川のせせらぎが静寂を破った。
「あ、あの……1ごう？どうしたの…？」
「…いいから、このまま抱きしめられとけ。」
「う、うん…。」
1ごうの表情は見えない。何を考えているのか、どういう気持ちでここに立っているのかさえわからない。怒っているのか、悲しんでいるのかさえも。ただ、「いつもと違う」ということだけは、なんとなく察しがついていた。
「…って、うわぁ！な、何言ってんだオイラ！頼む、聞かなかったことにしてくれー！」
｢えぇ？！どういうこと？！｣
パッと腕を解かれ、急に体が解放される。
｢いや、うん。とにかく忘れてくれ！じゃあな！｣
そのまま1ごうは走っていってしまった。
まだまだ話したいこと、沢山あったのに。
結局、さっきの出来事がなんだったのかはわからずじまいだった。
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山ノ花 禊(元リャナ)(プロフ) - 最近この小説を見かけてはまった者です、更新再開嬉しいです！ (1月22日 22時) (
レス) @page17 id: 3f96a70ccb (このIDを非表示/違反報告)
新世界(プロフ) - うちゅうじんもどきさん» 返信本当に遅くなりました！申し訳ないです！語彙力を失うほど好きになってくれて嬉しいです！ (1月22日 18時) (レス) id: 64837ede78 (このIDを非表示/違反報告)
新世界(プロフ) - MAREさん» 3年越しの返信になってしまい申し訳ないです！ありがとうございます！ (1月22日 18時) (レス) id: 64837ede78 (このIDを非表示/違反報告)
うちゅうじんもどき(プロフ) - うへぇあ……えええええ……いやもう、ほんと……え……っ……すきです……(語彙力) (2021年10月18日 8時) (レス) @page18 id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白かったです！更新まってます！ (2021年3月7日 2時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麻酔薬 | 作成日時：2020年5月20日 15時
