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それからというもの、じー、っと藤ヶ谷を観察するようにして仕事をこなした。
俺が見ているのがいけないのだけれど、目がパチ!と合うと、何故か藤ヶ谷の方が慌てて目を逸らす。
「…逆転の発想」
「ねえ…ミツやっぱり疲れてるよ」
「俺もそう思う…」
「最近ずっと何か喋ってるもんね…」
藤ヶ谷を観察するようになって、より一層距離を取られてるような気もするけれど。
なあ。大倉。コレ逆効果じゃね?
「…っ、あのさ」
「うお」
もはや藤ヶ谷を見ながらぼーっと出来るくらいになっていたので、いきなりその人物に話し掛けられて思わず大きな声が出た。周りのメンバーも、滅多に会話しない俺らに注目している。
そして当の本人は、何故か眉間に皺を寄せながら、俺の傍で気まずそうに立っている。
「え、何?」
「何、って、こっちのセリフなんだけど。」
「は?何?」
「…だから、何で、俺の事そんな見てくるの」
ぼそ、とメンバーに聞こえないように声を落としたけれど、藤ヶ谷の顔は真っ赤に染まっていた。
…あれ、もしかして。
逆転の発想?
「俺に言いたいことあるのかなあ、って思って」
「は…?」
「藤ヶ谷が、俺に何か言いたいことありそうだったから。見てただけ」
「…意味わかんねえっ」
そして逃げるように楽屋から出て行った藤ヶ谷に、メンバーは困惑した表情で俺を見てきた。
「え?2人今何話したの?」
「ううん、なーんも」
「は?何?ガヤさん出てっちゃったよ」
「んー。藤ヶ谷が何か言いたいことありそうだったんだけど。何も言わないで出てっちゃった」
ふふ、と一人にやけてしまうところを隠すように口元を覆った。
嫌い、の反対は好き、か。
「ねえ、ミツ今度は一人で笑ってるよ…」
「こわぁ…!」
____
あれから何年か経ったけれど、藤ヶ谷の態度は柔らかくなったものの、いまだにあいつの言いたいことは聞けてない。
コーヒーを黙って飲む俺に、玉森が小さな声で話しかけてきた。
「…ガヤから何か言われたの?」
「ううん、何も」
「じゃあ、ガヤに何か言いたいことでもあった?」
「んー、」
藤ヶ谷の言いたいことが聞けたなら、俺もいつか言ってやっても良いかな。
「俺はお前のことが好きだ、って言いたかった」
君の口からも、早く聞けると良い。
君の気持ちを。
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魚(プロフ) - クラシさん» コメントありがとうございます!第6弾、先程立ち上げましたのでお時間あるとき呼んで頂ければ嬉しいです(*^^*) 藤ヶ谷くん、何にも後半の方登場してないんですよね…笑 ちょっとどうしようか悩んでいますが、引き続きお付き合い宜しくお願いします〜〜! (2019年3月17日 21時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 第6弾ようやく立ち上げました……!バンドマンの方の書きかけてたお話、尻切れとんぼ感すごいですが、良ければ読んでください…笑 バンドマンシリーズの方も何とか時間見つけて書きたい気持ちとこのままでも良いかな〜ってすごい悩んでます( ;∀;) (2019年3月17日 21時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
クラシ(プロフ) - バーテンシリーズの続きがとても楽しみなのですが、バンドマン藤ヶ谷くんもどうなるのかとても楽しみです^ ^魚さんの作品が好きすぎて何回も読み返してしまいます!その6もワクワクしながら待ってます♪ (2019年3月15日 16時) (レス) id: 8b88c99833 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - は藤ヶ谷君を応援してしまっているようですww藤ヶ谷君がこんなにも優しくイケメンなのに一本ネジが飛んじゃっている感じの奴なのか‥過去編とか来ますかね‥(おねだりふたたび・・)このシリーズもとっても大好きです♪ (2019年3月6日 22時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - りなのかもしれないですよねふたりのガヤ(藤ヶ谷)に会いたい(顔見たい)のハモリにキュンと切なくなり皆に刺されちゃえ!!って思われちゃうたいぴに私も会いたくなりました(*´σー`)エヘヘ・・そして・・玉ちゃん寄りになったりみったん寄りになったりの私でしたが結局私 (2019年3月6日 21時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年2月7日 15時