勤務中! ページ30
「きたやまっ」
手を軽く振って名前を呼ぶと、キャリーを引きずりながら小走り気味に北山がパタパタと近付いてきた。
「…ふふ」
「何だよ、きもい…」
「んー、嬉しいなあ、って」
本当は今すぐにでも抱き締めて大量のキスをしてあげたいところだけれど、そこをぐっと堪えて指先に軽く触れた。
「帰ろっか」
「…おう」
半分も隠れてよく見えない顔が、本当は照れていることくらい明らかで、我慢できなくなっておでこに軽くキスを落とした。
抱き締めたいときに、すぐ傍に好きな人がいることがどれだけ幸せか。
温かい気持ちが胸いっぱいに広がっていく。
北海道に進学した北山と4年間の遠距離交際を乗り越えて、春から俺のいる高校に赴任が決まった、と聞かされた時のあの天にも昇るような気持ち。
あの時の喜びを超えるものは無いと思う。
すぐにでも同棲を始めようと、2人で住めるような部屋に引っ越そうとした俺を、北山は慌てて止めてきた。
「何で!?俺と一緒に暮らしたくないの!?」
「同棲とか怪しまれるに決まってるだろ、馬鹿!」
「やだ!北山と離れて暮らすとか無理!」
そんな喧嘩が2,3日続いたものの、結局俺の今住むマンションの目と鼻の先にある小さなアパートに北山が住むことで俺は妥協した。
___
「いろいろ買いに行かなきゃね」
北山の小さなアパートにはまだ数個の段ボールが積まれているだけで、何もない空間が広がっているだけだった。
「明日行こうか。今日疲れてるでしょ?」
「ん…」
カーテンも必要だし、ベットも買いに行かなきゃな。
机も必要だし、食器とか北海道から持って来たのかな?
段ボールを少し開けて明日買いに行くものを思い浮かべていると、腰のあたりを、ぎゅ、と拘束された。
「どうしたの」
後ろから抱き締めてきた北山の頭を優しく撫でると、キスをねだるように見つめてきたので、お望み通り唇にキスを落としてあげた。
「…しねえの」
「へ?」
「だから、その、抱いてくれねえの…って」
消えていくような恋人の誘いに、俺の理性はあっという間に崩壊していった。
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たいちゃんらぶ(プロフ) - ・・にジーン( ;∀;)あぁぁぁ‥好きです・・ゆびわに気づいたたいぴ・・いつか!!!待ってます(*´σー`)エヘヘ (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!っと愛おしいし‥会社のエースなのにガヤさんと離れるのやだー(´;ω;`)と潰れるガヤさんにゾッコン(←)な玉ちゃんが大好きです♪サプライズに鳩になるたいぴ可愛い♪俺の胸に飛び込んでおいで!って本気な玉ちゃんにwwやっと絞り出したおかえり (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遠かった春・・( *´艸`)私‥夜布団の中で目が覚めた時更新チェック・・ついしちゃうんですが‥「春」シリーズだ!!! と思うとどんなに眠くっても起きて見ちゃう(`・ω・´)ゞきたやまくんの言葉に真っ赤になっちゃうガヤさんはホント可愛いし‥玉北ちゃんの飲み会は (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 君が壊れる日・・いつもは光の中に身を置いているようなみっくん・・だからこその抱える闇なのかも(´;ω;`)ウッ…なんて思ってしまいました。でもそれを見逃さないたいぴが隣にいるなら…涙。ふえーん( ;∀;)… (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 北斗さん» コメントありがとうございます! 春シリーズ好評頂けて嬉しいです( ;∀;)! この2人と北山さんことはこれからも書いていこうと思っております!また是非読んで頂ければ嬉しいです! (2018年11月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年9月14日 22時