先生! ページ25
前作の『卒業』のその後のお話
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「ミツー!!」
担任を発見するなり、二階堂が一直線に廊下を全力で走って行った。
そしてその後、ドスッ、という鈍い音と共にミツの怒声が廊下に響き渡った。
「廊下は走るなあっ!!」
頭を抱えてミツの足元にうずくまる二階堂と、説教をするミツの元にゆっくり近づいて行った。
「ミツお疲れ〜」
「おう、お疲れ様、って俺は友達じゃねえ!
北山せ、ん、せ、い!
タメ口使うな!あだ名で呼ぶな!」
ぷんぷん、まるでそんな効果音が目に見える。
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ミツ、こと北山先生は、この春からこの高校に赴任してきた。
そして俺と二階堂のいる2年A組の担任となった。
初日のあの衝撃は今でも忘れない。
転校生が来たのかと思った。
「きっ、北山、宏光です!
ずっとサッカーをやっていました。
担当は古文、現代文です。
みんなと歳も近いので、気軽に何でも相談してください!」
やたらと綺麗に黒板に書かれた文字と、その童顔とのギャップに、クラス全員が呆気にとられた。
ぽかん、とした俺らの表情から何かを読み取ったのか、ミツは少し怒った口調で言った。
「俺は高校生じゃねえからな!!」
くりっとした真ん丸な黒目。
丸い鼻。ふっくらとした唇。
小さい顔。
愛らしい表情と、話しやすい性格で、ミツはあっという間に学年の人気者になった。
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「あ、ミツだ。今日もちっちゃいねー」
「うるせえ、めりこんでるだけだっつーの」
「あ、みっくん!今日も可愛いね!」
「その呼び方やめろー、ていうかスカート短いぞー」
どこにミツがいるのか一瞬にして分かる。
ミツの周りはいつも賑やかだから。
俺と二階堂の傍に立ちながら、横を通り過ぎていく生徒にからかわれて、満更でも無さそうに返事をするミツを見つめた。
「…なんだよ玉森、その目は」
「いや、何でもないよ」
「お前はいつも何か言いたげなんだよ、ほら、言ってみろよ!」
頭1つ小さいところから手が伸びてきて、髪をぐしゃぐしゃにしてきた。
「ちょ、やめてよ、」
「うるせー、言いたいことあるならちゃんと言ってみろ」
お構いなしに俺の髪をぐしゃぐしゃにして、へへ、と悪戯が成功した子供のように笑った。
「もー、まじ最悪」
「まじでミツに殴られたとこ超痛いんだけど!」
「自業自得だ、ばあか」
俺と二階堂の文句に、早く帰れよー、と小さい背中を見せてミツは廊下を去って行った。
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たいちゃんらぶ(プロフ) - ・・にジーン( ;∀;)あぁぁぁ‥好きです・・ゆびわに気づいたたいぴ・・いつか!!!待ってます(*´σー`)エヘヘ (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!っと愛おしいし‥会社のエースなのにガヤさんと離れるのやだー(´;ω;`)と潰れるガヤさんにゾッコン(←)な玉ちゃんが大好きです♪サプライズに鳩になるたいぴ可愛い♪俺の胸に飛び込んでおいで!って本気な玉ちゃんにwwやっと絞り出したおかえり (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遠かった春・・( *´艸`)私‥夜布団の中で目が覚めた時更新チェック・・ついしちゃうんですが‥「春」シリーズだ!!! と思うとどんなに眠くっても起きて見ちゃう(`・ω・´)ゞきたやまくんの言葉に真っ赤になっちゃうガヤさんはホント可愛いし‥玉北ちゃんの飲み会は (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 君が壊れる日・・いつもは光の中に身を置いているようなみっくん・・だからこその抱える闇なのかも(´;ω;`)ウッ…なんて思ってしまいました。でもそれを見逃さないたいぴが隣にいるなら…涙。ふえーん( ;∀;)… (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 北斗さん» コメントありがとうございます! 春シリーズ好評頂けて嬉しいです( ;∀;)! この2人と北山さんことはこれからも書いていこうと思っております!また是非読んで頂ければ嬉しいです! (2018年11月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年9月14日 22時