好きなんかじゃない ページ44
「なんか、太輔の白シャツ見慣れない」
そう言いながら渉は苦笑いで俺を見た。
「そう?マダム達には好評だったよ」
「はいはい、そうですか」
退勤したものの、いつもこの時間から働き始めているので、暇だった俺は、カフェエプロンを取って、カウンターに白シャツを羽織ったまま腰掛けた。
渉が作ってくれた酒を飲みながら、今日の昼間を思い出した。
あの、うざったそうな顔。
最高に可愛いかった。
やっぱりすごくタイプだな。
「で?どうだった訳?
わざわざ俺を遅番にしてまでの愛しの北山くんとの早番は?」
嫌味ったらしく渉の隣でシェーカーを振りながら聞いて来たのは、玉森だった。
「はは、ごめんって。今度誰か紹介してあげるから、許して」
「まじで飛びっきり可愛い子にして。それかすっげぇ良い男ね」
「…お前ら店でそう言う話するなよ」
はあ、と渉は呆れたように溜息を吐いた。
俺と玉森は言うなれば、遊び人、で。
しかも男も女もどっちもイケる口となれば話は早い。
互い同士で欲求を解消する事もあるけれど、まあそれは最後の手段だ。
そこに恋愛的な好意は無いから、体の相性は良いけれど、俺も玉森の間に愛は成立しない。
俺と玉森のこの嗜好を唯一知る渉は、いつもこういう話になると眉を顰める。
「北山くんってノンケでしょ。ガヤどーすんの、」
「んー?別に?気にしてない」
「本当見境い無いのね」
呆れたように酒を作る玉森の捲ったシャツから覗く腕が、何だかやけに男らしく見えてくるから不思議だ。
…見境い無い、か。
「ね、玉森。」
「何?」
ん?と不思議そうに首を傾げてくる玉森にグッと顔を近づけて耳元で囁いた。
「終わったらホテル行こうよ」
「…は?」
一気に急降下した玉森の声色に、渉がどうした?と聞いて来たタイミングで、都合よく新たな客が来店した。
新たな来店に渉が対応したのを良いことに、玉森は露骨に俺を罵ってくる。
「…まじで何?俺で満たされない欲求解消しようって?」
「そうかも。でも最近玉森と寝てないな、って」
「はあ?ウザ、そんな風に遊ばれたく無い」
「まあまあ、いつものホテルで待ってるから」
じゃあね、とまた玉森に顔を近づけて、耳に軽く口付けを落とすと、チュッ、という甘いリップ音と、玉森の盛大な舌打ちが重なった。
471人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» コメントいつもありがとうございます〜! バーテンシリーズはT×Fも交えて更新して行きたいと思っております!第4弾でもお付き合い頂ければ嬉しいです(*^^*) きっと高校生時代から宮田さんは良い友達だったんだろうなあ、と思いながら書かせて頂きました! (2019年1月16日 9時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - あみさん» コメントありがとうございます!バーテンシリーズは私も書いていて楽しいです…笑! ちょい笑い藤ヶ谷さんの策士っぷり是非楽しみにしていて頂ければと思います!魔法使いシリーズも引き続きよろしくお願いします! (2019年1月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - した(/ω\)お玉ちゃんの想いも気になるっ・・もう一回読み直さねば・・(`・ω・´)ゞ (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - けてたいぴも良かったね・・みやっちありがとーー好きなんかじゃない・・玉ちゃんに色々暴いてもらって(←)たいぴの性癖が(゚∀゚)♪チュっと舌打ちが重なったってところ・・好きです・・玉ちゃんとだと右Fさんはみっくんにはどうなるんだろう・・ってつい考えちゃいま (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 魚さん♪終電の後(≧▽≦)心配募らすたいぴの様子に( ̄m ̄〃)ぷぷっ!お迎えに行くもどういうスタンスで??って考えちゃうトコもww(後でみったん怒ったら困るしね♪)ってここでやっぱり宮っちアシストさすがです♪優しい子だ!!幸せみったん・・良かったね・・それを聞 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魚 | 作成日時:2018年11月16日 1時