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コンコン
「…何」
扉を開けると、北山さんは既にベットに入っていて、眠たげな声で返事をした。
「温かい飲み物でも、どうかなって」
「…ありがと。そこ置いといて」
寝ていたのかと思いきや、分厚い古文書を読んでいたようで、俺に一瞬だけ視線を寄越し、また本に集中し始めた。
いつもならここで部屋を出て行くけれど、北山さんの意識がもう少しだけ向いて欲しくて、椅子に腰掛け、自分のマグカップに口付けた。
俺が部屋を出て行かなかった事には無関心なようで、何にも言わずに本を読み進めている。
「それ、何か調べ物ですか?」
「……ん、宮田から頼まれ物」
「何か手伝いますよ」
「良いよ。大丈夫」
お前、忙しそうだから
「あ、」
「……勝手に心読んでんじゃねえ」
無意識に心を読んでしまい、北山さんは起き上がって俺を睨んだ。
昔から読心術が得意なせいで、読もうとしなくても勝手に分かってしまうのだ。北山さんはそれを嫌って、心を読まれないようにいつも固く閉ざしているけれど、ふとしたタイミングで感情が流れ込んでくる。
今みたいに。
「悪い…ちょっとイライラしてた。もう寝るから、」
そして拒絶。
「…っ、北山さん」
本を戻そうと立ち上がった北山さんの背中に抱き着いた。
「……」
どうして俺の心を読んでくれないんだろう。
簡単に読めるように心をひらいているのに、どうして?
「…俺はさ、お前みたいに強くないんだよ」
「え?」
「もう二度とお前を失いたくたない…」
そう消え入るような声で北山さんは呟くと、俺の手を解いて、自分の胸元をはだけさせた。
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魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» コメントいつもありがとうございます〜! バーテンシリーズはT×Fも交えて更新して行きたいと思っております!第4弾でもお付き合い頂ければ嬉しいです(*^^*) きっと高校生時代から宮田さんは良い友達だったんだろうなあ、と思いながら書かせて頂きました! (2019年1月16日 9時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - あみさん» コメントありがとうございます!バーテンシリーズは私も書いていて楽しいです…笑! ちょい笑い藤ヶ谷さんの策士っぷり是非楽しみにしていて頂ければと思います!魔法使いシリーズも引き続きよろしくお願いします! (2019年1月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - した(/ω\)お玉ちゃんの想いも気になるっ・・もう一回読み直さねば・・(`・ω・´)ゞ (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - けてたいぴも良かったね・・みやっちありがとーー好きなんかじゃない・・玉ちゃんに色々暴いてもらって(←)たいぴの性癖が(゚∀゚)♪チュっと舌打ちが重なったってところ・・好きです・・玉ちゃんとだと右Fさんはみっくんにはどうなるんだろう・・ってつい考えちゃいま (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 魚さん♪終電の後(≧▽≦)心配募らすたいぴの様子に( ̄m ̄〃)ぷぷっ!お迎えに行くもどういうスタンスで??って考えちゃうトコもww(後でみったん怒ったら困るしね♪)ってここでやっぱり宮っちアシストさすがです♪優しい子だ!!幸せみったん・・良かったね・・それを聞 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年11月16日 1時