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「北山さん?」
キイ、と軋む扉の向こうには、こちらを睨みつけながら明らかに黒いオーラを纏った男がいた。
部屋に入っただけでその魔力の大きさで潰されそうになる。
「もう、何なんですかこの重い空気。家壊れるでしょ」
そして藤ヶ谷さんがぱち、と指を弾いた瞬間、重い空気は払拭されたものの、じろり、と睨まれただけで足が立ちすくみそうになる俺は千賀を抱きしめた。
「こちらが渉が言ってた弟子候補の二階堂くんと、その使い魔の三毛猫、千賀くんです。
で、こちらが我が主人の北山さんです。」
藤ヶ谷さんだけが何でも無いように淡々と話を進めているけれど、やっぱり弟子入りなんて夢だったかな…
「おい、藤ヶ谷、勝手に話進めんな。俺は弟子はとらないって言ってんだろ」
「だから、弟子候補、って言ってるじゃないですか!
弟子見習いでも良いんですけど。弟子になるための前段階ですって」
「はぁ?そんなん屁理屈だっつーの!」
「弟子見習い期間は俺が指導するんで、良いじゃないですか。北山さんにはなーんの迷惑もかけませんから」
目の前で始まった痴話喧嘩に、俺と千賀は完全に置いていかれているものの、北山さんの雰囲気が一気に柔らかくなったのが分かる。
暫く2人のやり取りをただボー、っと眺めていると、北山さんは大きなため息と共に俺らを見た。
「万が一藤ヶ谷に怪我でもさせたら、その瞬間に呪ってやるからな…」
地を這うような声に、ブルリ、と千賀が震えた。
…あれ、もしかして?
「……えっ!やったー!ありがとうございます!!」
「おい勘違いすんなよ!弟子見習いだからな!弟子じゃねえからな!」
「北山さん!宜しくお願いします!!」
ああ、めんどくせえ。
そう言いながらソファに沈んだ北山さんを、藤ヶ谷さんは嬉しそうに見た。
「ふふ、宜しくね」
ミャー、と腕の中から三毛猫が顔を出して鳴いた。
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魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» コメントいつもありがとうございます〜! バーテンシリーズはT×Fも交えて更新して行きたいと思っております!第4弾でもお付き合い頂ければ嬉しいです(*^^*) きっと高校生時代から宮田さんは良い友達だったんだろうなあ、と思いながら書かせて頂きました! (2019年1月16日 9時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - あみさん» コメントありがとうございます!バーテンシリーズは私も書いていて楽しいです…笑! ちょい笑い藤ヶ谷さんの策士っぷり是非楽しみにしていて頂ければと思います!魔法使いシリーズも引き続きよろしくお願いします! (2019年1月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - した(/ω\)お玉ちゃんの想いも気になるっ・・もう一回読み直さねば・・(`・ω・´)ゞ (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - けてたいぴも良かったね・・みやっちありがとーー好きなんかじゃない・・玉ちゃんに色々暴いてもらって(←)たいぴの性癖が(゚∀゚)♪チュっと舌打ちが重なったってところ・・好きです・・玉ちゃんとだと右Fさんはみっくんにはどうなるんだろう・・ってつい考えちゃいま (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 魚さん♪終電の後(≧▽≦)心配募らすたいぴの様子に( ̄m ̄〃)ぷぷっ!お迎えに行くもどういうスタンスで??って考えちゃうトコもww(後でみったん怒ったら困るしね♪)ってここでやっぱり宮っちアシストさすがです♪優しい子だ!!幸せみったん・・良かったね・・それを聞 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年11月16日 1時