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それから二階堂がニヤニヤしながらも、今日一番の集中を見せてレポートに取り組む姿を見せた。それに安心してしまった俺は、自分の勉強へと集中し、時計への意識を反らしてしまった。
電話から大体20分が過ぎた頃、インターホンの無機質な音が部屋に鳴り響いた。
ピーンポーン
「俺が出るっ!」
「はっ?!ちょ、ふざけんな待てよ!!!」
ガバッ!と勢いよく飛び出した二階堂を追いかけるが、油断していた俺は一歩出遅れた。
ガチャ!!
「二階堂、あぶなっ」
「うおっ「ミツの彼女さんですか?!?!」
ドアを勢いに任せて開け放った張本人は、空気が固まったように動かなくなった。
「藤ヶ谷っ、大丈夫?!」
「お、おう。ぶつかってはない」
「良かった。」
未だに固まる二階堂の後ろから声をかけると、どうやら怪我はしていないらしく、安心した。
_____
「ほんっっっっとごめんなさい!」
二人がけソファの右側。
俺の部屋の中の、自分の定位置に座りながら、藤ヶ谷は二階堂の土下座の謝罪を優しく笑っていた。
なんか王様と家来って感じだな・・・
「いいよ、別に。怪我してないし。」
「だって、ミツが、あんまりにも照れ隠しするから・・・、てっきり女の子が来るのかと思って・・・」
「照れ隠し、ねえ?」
うわ、二階堂、余計なこと言うんじゃねえよ。
内心毒づきながらも、藤ヶ谷からの視線を避けるように、キッチンでもう1人分のお茶を注いだ。
「藤ヶ谷さんは」
「ガヤ、とかで良いよ。タメ口で良いし」
へえ、珍しいな。人見知りなのに。
そう思いながら藤ヶ谷の目の前にお茶を出すと、コップを置いた瞬間に手を出してきて、一瞬指先が触れた。
「っ!」
ピクッと肩が動くと、面白いのか藤ヶ谷は知らないふりをしながらニヤニヤしている。触れられた部分から体に熱が伝わっていくのが分かる。
藤ヶ谷の隣にいつものように座ると、二階堂はキョトン、とした顔で俺らを交互に見つめてきた。
「ミツと、ガヤは、どういう関係なの?」
「渉と俺は仲が良いから。それで北山と知り合ったんだ。」
藤ヶ谷の返答に、ふうん、とあまり納得のいっていないようだった。
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たいやき(プロフ) - 藤北目当てで読んだのに、『春』が1番好きで、何度も読み返しています!!あまり玉ガヤのBLは意外と読んだことがなかったので新鮮だったのと、『春』の藤ヶ谷くんがどたいぷすぎました。これからも頑張ってください! (2019年10月13日 1時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - まきさん» コメント頂いていたのにお返事遅れてしまい大変申し訳ありません(*_*)! 短編の方で思いついた時にでも書いていこうかと思っておりますので、是非楽しみにしていただけると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2018年10月22日 17時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。以前に一回読んで、また読みたくなってしまい、読み返しました。とてもかわいい藤ヶ谷さんを見れて、楽しく読ませて頂いてます。『春』の続編を勝手ながら期待しております。 (2018年9月19日 11時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!私の中で藤ヶ谷さんは受けだと思っていて笑 北藤、玉ガヤ大好きなんです笑 そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - わたリンさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてしまい大変申し訳ありません( ;∀;)!春の続編いつか書きたいと思っておりますので、楽しみにしていてください! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年4月16日 21時