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「なあ」

「・・・」

「おい」

「・・・」

ポイっ

「いったー!シャーペンまた刺さったんだけど?!なに?!喋っても怒られるし、黙ってても怒られるの?!」


二階堂がぎゃーぎゃー騒ぎ始めたので、片手で耳を押さえながら言った。


「過去レポっ、俺の友達がくれるって!」


「・・・まじでっ!!!!」


あー、うるさいうるさい。
逆効果だったなあ。

逃げるように廊下に出て、藤ヶ谷の連絡先を表示して、電話を掛けた。


『もしもし、藤ヶ谷』

『お疲れ、過去レポのこと?』

『そう』


二階堂のあのきゃんきゃん声に比べて、藤ヶ谷の低い落ち着いた声が耳に入ってくるだけで、気持ちが穏やかになる。口許がついにやけてしまう。


『データで残ってないんだ。だから今からそっち届けに行くよ』

『え?まじ?わざわざ来てくれんの?』

『いいよ、別に玄関のとこで渡すだけで』

『それは申し訳ないから、明日俺が受け取るから、別に良いよ』

『だって早くレポート終わらせたいでしょ?』

『いや、それは二階堂の都合だからお前がそこまですることじゃない』

『・・・』


一見無愛想に見えて、優しいからこそ、いつも俺は甘えてしまう。けれど二階堂のレポートのために藤ヶ谷がわざわざ俺の部屋にまで届けてくれるのは、いささか大袈裟過ぎるし、申し訳ない。

しばらくの沈黙のあと、藤ヶ谷は大きくため息をついた。


『あのさあ、北山に会いたい、って言わなきゃ分かんない?』


ドキッ!


体温が上がっていく。耳元が熱い。目も熱い。心なしか涙も出てくる気がする。


『・・・とにかく、行くからっ。
じゃ、』

プツンっ


逃げるように電話を切られた。



「あー、うるさいうるさい。」



心臓がどくんどくん、していてうるさい。思わず耐えきれなくなって廊下にぺたん、としばらく座り込んでいると、不審に思ったのか二階堂が顔を出した。


「え、何してんの」

「うっせえ。」

「ミツ、顔真っ赤だよ?」


いつものように睨みをきかせても、二階堂はケラケラと笑っている。部屋に二人で戻って席に着いてからも、二階堂はこちらを怪しんでいる。


「過去レポくれるんでしょ?その人」

「そーだよ」

「もしかして、彼女とかっ?」

「お前、いつ俺に彼女出来たと思ってんだよ」

「えー!隠してたりするんじゃないの〜?」

「うっせえ!過去レポ頼んでやったんだから黙ってろ!」


はーい、と軽く返事をする二階堂はどこか楽しそうだった。

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たいやき(プロフ) - 藤北目当てで読んだのに、『春』が1番好きで、何度も読み返しています!!あまり玉ガヤのBLは意外と読んだことがなかったので新鮮だったのと、『春』の藤ヶ谷くんがどたいぷすぎました。これからも頑張ってください! (2019年10月13日 1時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まきさん» コメント頂いていたのにお返事遅れてしまい大変申し訳ありません(*_*)! 短編の方で思いついた時にでも書いていこうかと思っておりますので、是非楽しみにしていただけると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2018年10月22日 17時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。以前に一回読んで、また読みたくなってしまい、読み返しました。とてもかわいい藤ヶ谷さんを見れて、楽しく読ませて頂いてます。『春』の続編を勝手ながら期待しております。 (2018年9月19日 11時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!私の中で藤ヶ谷さんは受けだと思っていて笑 北藤、玉ガヤ大好きなんです笑 そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わたリンさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてしまい大変申し訳ありません( ;∀;)!春の続編いつか書きたいと思っておりますので、楽しみにしていてください! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年4月16日 21時

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