まずは胃袋から ページ3
2人の短いお話 その8より『引っ越し蕎麦』のシリーズ
下書き供養
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「あれ、北山さん?」
ん?とその声に顔を上げると、予想もしていなかった人物がいて、素直に驚く。
「おー、藤ヶ谷じゃん。びっくりした」
「僕も。初めてキャンパスで会いましたね」
それから少しだけ会話をすると、藤ヶ谷は会釈をして立ち去った。
俺の隣の部屋に引っ越してきた藤ヶ谷は、この大学に秋から編入してきたらしい。
年は同い年だけれど、編入生ということで学年は俺の1つ下で理学部だと言った。
俺のいる工学部棟とは建物が違うので今まで学内で顔を合わせたことは無かったのだけれど、今日たまたま来ていた学食で会うことになるとは。
「誰あれ。」
「前話した俺の隣の部屋に引っ越してきた編入生」
「えっ、あの例の引っ越し蕎麦の人?」
一緒に学食へやって来ていた後輩の玉森と二階堂が目を丸くした。
「引っ越し蕎麦なんてわざわざ渡してくるような人だから、もっと変な人だと思ってた……」
「ね、普通にイケメンだったね」
「おい、聞こえてんぞ」
学食の安さと量を売りにした肉野菜炒めを食べながら、2人を睨む。
俺がアパートを出入りする時間が不規則な事もあり、藤ヶ谷と鉢合わせる事はそんなにない。
いつもアパートの近くにあるコンビニによく行くのだけれど、そこで藤ヶ谷を偶然見かけた程度だ。
コンビニの前で一服していると、綺麗な女性を連れ立ってコンビニから藤ヶ谷が出てきた。
会話をしていて俺には気付いておらず、俺も話しかける必要はないだろうと思いそのまま2人の後ろ姿を見送った。
「あんなイケメンなのに、おんぼろアパート住んでるの勿体無いね」
「築36年なめんな。中はリフォームされて新しいっつーの」
いつだか研究室の新歓帰りに駄々をこねた2人を俺の部屋に連れて帰って来た事があった。
その時はまだ藤ヶ谷の前の住人が住んでいて、俺たちがうるさかったのか、壁が薄かったのか、注意されてしまった。
それ以来俺の家で宅飲みを開催する事はない。
「だってあの部屋でやれないじゃん。女の子連れ込めない」
「たしかにー、声聞こえちゃう」
綺麗な顔でそんなことを言ってのける玉森と、それに同意する二階堂の脛をそれぞれ蹴った。
「いった!!何すんの!」
「うっせー!黙って食え!」
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風紀桜(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしています。私は高嶺の花シリーズと魔法使いパロが好きなのですが続きの更新はありますか?これからも頑張ってください! (2020年5月1日 22時) (レス) id: d0d9d74493 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!TFカップルとKくんな関係性、気に入って頂けて嬉しいです〜!いかにも続編ありそうな書き方にしてしまいましたが、今のところ何も思い付いてないまま見切り発車してしまったので…!笑 気長に待っていて下さい。゚(゚^ω^゚)゚。 (2020年4月7日 20時) (レス) id: 5a8ec8d2a5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 魚さん、こんにちは。毎回更新楽しみにしてます。今回のお話続きがとても気になります!!3人の関係性がすごく好きなので、ぜひ続き楽しみにしています! (2020年4月7日 9時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - かなさん» かなり久しぶりの更新にも関わらず、コメントありがとうございます…。゚(゚^ω^゚)゚。!長編なかなか更新できず悩んでいるのですが、溜めてある下書き少しずつ公開していきたいと思います! (2020年4月2日 20時) (レス) id: 5a8ec8d2a5 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 更新ありがとうございます。何気ない休日の2人のやり取りに癒されました。高嶺の花シリーズも大好きです。次回更新楽しみに待っています。 (2020年4月2日 16時) (レス) id: d46f297406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年10月31日 19時