2人の短いお話 その8

こんな結末ありますか ページ31

高嶺の花シリーズ

2視点
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大学生の夏休みは約2ヶ月と長い。
実家に丸々帰省する者も居れば、バイトに勤しむ者、旅行に出かける者など、時間の使い方は人それぞれである。


そんな夏休み真っ只中、暇な奴飲もうぜ！、と何とも大学生らしい理由で唐突に決まったサークルの飲み会は、いつもより随分と少ない人数で開催された。


最近のミツなら絶対に参加しない。

それもそうだ。だって最愛の恋人が部屋で待っているのだ。付き合いが悪くなった、と口を尖らせるサークルの面々も相手があの高嶺の花なら仕方ない…と納得をしている。


けれど今日はそんなミツが参加をしている。
そして先程から潰されつつある。

それも「北山を連れて来い！」とサークルの中でもうるさい奴らがしつこいので、一次会でささっと帰って良いから、と説得した俺にも責任がある。




「んあー！もう飲めねえっつうの」
「だって、キタミツ飲みに来るの久しぶりなんだもん。嬉しい〜」
「はい、なーにもってんの、なーにもってんの！」






いつもの雑なコールがかかり、そしてグラスを傾ける。

本当に拒んでいるわけではないので、ミツもノリに乗って飲むのだけれど、そろそろ助け舟を出そうとお祭り軍団をしれーっと違うテーブルに移動させた。









「んあ、りがと」
「大丈夫？ごめん、無理やり連れてきて」
「うんん……」






こっそり頼んだお冷をミツに渡すと、真っ赤になった瞳で見上げられた。金髪も相まって、背徳感に襲われる。



就活も終え、どうせ学生最後だから思い切り髪を染めたい、とミツが言ったので、ブリーチをしてあげた。久しぶりにサークルに顔を出した俺たちを見たとき、女子がミツに群がった。

女子のマネージャーのたちは「うわ、チャラミツじゃーん」とか言いながら写真を撮ってサークルのグループラインに貼り付けていた。


ミツ曰く、ガヤもたいそうお気に召したようなので、金髪は暫く続きそうな気がする。






「久しぶりに来るとやっぱ楽しいね」





俺が申し訳なさそうにしているのに気を使っているのか知らないけれど、ミツはヘラ、と笑ってそんなことを言った。

ガヤと付き合い始める前はミツはサークルの飲み隊長、と言われる程だったし、女の子ともよく遊んでいた印象だ。



それが今じゃコールが終わった後机に突っ伏しているのだから人は変わるものだ。

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