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そんなことがあったのもすっかり忘れていた数週間後。
「ただいまー」
「おかえり。何か、出版社から届いてたよ?」
バイトを終え、終電に乗り部屋に帰ると、寝ずに待っていてくれたらしいガヤが茶封筒を渡してきた。
「え?なんだろ」
受け取った茶封筒は意外と重く、何も思い当たる節が無くビリビリと破ると、ある雑誌と手紙が出てきた。
そして、あ、と思い出す。
「そうだ、俺この前表参道で写真撮られたんだった」
「何それ、熱愛写真?」
「ちげーよ」
すっかり忘れていた。
手紙には感謝の旨と発売前だが完成した来月号を送る、と言った内容が書かれており、そして恐らく俺が掲載されてあるであろうページに付箋紙が顔を出していた。
「あー、先月買い物行った時に話してたやつか」
「うん、」
そのページをめくると、2人揃って思わずえ?と二度見してしまったのも記憶に新しい。そのページにはでかでかと書かれたタイトルの下に、ぎこちない笑顔を浮かべた自分だけが載っていた。
「タマすごいね、こんなにでっかく載ってると思ってなかった…」
「いや、俺もだよ。え、これはちょっとビビってる」
でもガヤはどこか嬉しそうで、雑誌の紙面をわざわざスマホで撮影して、渉に送っても良い?と笑顔で言われた。
ガヤが嬉しいならきっとこれは喜ばしい事だったのだろう、と納得することにしてその雑誌を本棚にしまった。
____
「いらっしゃいませ」
ランチタイムがそろそろ終わる頃、女子大生らしき2人組が来店した。いつものようにメニューを持っていくと、そのうちの1人があれ、と焦ったような声を出した。
「え、どうかした?」
「あ、え、この前、雑誌に載ってた人じゃない?」
「…あっ、確かに!」
2人のやり取りに、自分の事を言っているのかもしれないと思いつつも、まったく見知らぬ顔だったので何ともリアクションがしづらい。
無言を貫いていると、2人組は写真を撮っても良いか、と言ってきたので店長に確認する旨を伝えた。
「店長、なんか、写真撮っても良いか、って言われたんすけど」
「えー?玉森くんの?」
「はい、たぶん」
「他のお客さん写らなかったら良いよ」
そしてその何気なく撮った一枚をきっかけに、次の日からもチラホラと俺目当てのお客さんが来店することが増えたのだった。
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魚(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!高嶺の花シリーズ、書き始めた当初は短編で終わる予定だったんですがそう言って頂けて嬉しいです(*^^*) 誕生日の後日談は下書きに眠っているのでもうすこし書き加えたら出しますね〜! (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ふじみつさん» コメントありがとうございます!お返事すっかり遅くなってすみません。゚(゚^ω^゚)゚。!魔法使いさんシリーズに探偵シリーズに…この前更新したのはいつだっけ…という作品ばかりでお待たせしてすみません!いつか書きます!笑き (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんにちは、魚さんの作品いつも更新楽しみにしてます!個人的に高嶺の花シリーズがとても好きで、なん度も読み返してます。北山くんの誕生日の件の続きがとても気になります、、、ぜひ見たいです^ ^ (2019年9月26日 10時) (レス) id: 1e2dbff765 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - こんにちは。みっくんのお誕生日になんて素敵な物語!ありがとうございます。私「春」がとても好きで、教師さんも、バーテンさんも、探偵さん、魔法使いも〜〜!完結したばかりですが、色々続き待っていても良いですか? (2019年9月19日 11時) (レス) id: a043f1bcd7 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ぴこさん» コメントありがとうございます!わー!先生パロのお話も読んで頂けたとは…( ;∀;)!嬉しいです、あの2人のお話もまた書きたいなと思っていたのでやる気が出てきました笑 リアルな2人の関係性はこんな感じかな、と思い甘めな設定で書かせて頂きました(*^^*) (2019年9月18日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年7月19日 2時