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「可愛い女の子じゃないけど、超イケメンなら引っ越してきたわ」
「え?ミツ先輩の隣の部屋?」
「おう」
「なんで知ってんの?」
「あっちが挨拶しに来たから」
俺がそう答えると、2人は目を丸くして驚いた。
そりゃそうだろう。
このご時世、隣に誰が住んでいるか知らない人もいるし、ましてそれが学生アパートであれば、廊下ですれ違った時でさえ挨拶もろくにしない。
それだと言うのに、あのイケメンは。
「引っ越し蕎麦もらったわ」
「はあ?引っ越し蕎麦?!すげー!今時そんなことする人いんの?」
「実家引っ越しした時も流石に蕎麦は渡したことないなー」
だよなあ、と2人のリアクションにホッとする。
もしかしたら俺が文化を重んじてこなかったばかりに、そういう風習は未だに根付いているのかと疑心暗鬼になっていたのも事実なので、やっぱりあのイケメンは変人だと改めて思う。
うんうん、と勝手に安心していると、二階堂が不思議そうに口を開いた。
「ていうか蕎麦ってさ、引っ越しした本人が食べるんじゃないんだ?」
「え、違うっしょ、何で年越しそば的なポジションなの」
「えー、引っ越ししたその部屋で食べる蕎麦かと思ってたわ」
二階堂のコメントに、玉森が素早くスマホを操作して、画面を読み上げた。
「“引越し蕎麦とは、新しく引っ越ししてきた者が近隣に蕎麦を配る習慣である。
江戸時代中期、江戸の町人文化が始まりで、それまでは小豆粥や餅を配っていたが、より安価な蕎麦配るようになった。”
だって」
ふうん、とその説明に二階堂と共に納得すると、玉森はまた説明を加えた。
「“お側にやってきました、細く末永い付き合いをお願いします、といった意味合いもあると言われるが、こうした洒落のような意味合いは、後から付け加えられた。”」
「ダジャレじゃん」
「昔の日本人センスあるー、すげー」
なんとも現代っ子な発言をする二階堂に対し、そんな江戸時代からの文化を重んじているあのイケメンを思い浮かべた。
「…ていうか、何時に今日帰れるかなあ」
「まあ今から解析かけて、良くて朝になる前じゃね」
細く長いお付き合いね。
……まあほとんど関わることなんて無いだろうけど。
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魚(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!高嶺の花シリーズ、書き始めた当初は短編で終わる予定だったんですがそう言って頂けて嬉しいです(*^^*) 誕生日の後日談は下書きに眠っているのでもうすこし書き加えたら出しますね〜! (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ふじみつさん» コメントありがとうございます!お返事すっかり遅くなってすみません。゚(゚^ω^゚)゚。!魔法使いさんシリーズに探偵シリーズに…この前更新したのはいつだっけ…という作品ばかりでお待たせしてすみません!いつか書きます!笑き (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんにちは、魚さんの作品いつも更新楽しみにしてます!個人的に高嶺の花シリーズがとても好きで、なん度も読み返してます。北山くんの誕生日の件の続きがとても気になります、、、ぜひ見たいです^ ^ (2019年9月26日 10時) (レス) id: 1e2dbff765 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - こんにちは。みっくんのお誕生日になんて素敵な物語!ありがとうございます。私「春」がとても好きで、教師さんも、バーテンさんも、探偵さん、魔法使いも〜〜!完結したばかりですが、色々続き待っていても良いですか? (2019年9月19日 11時) (レス) id: a043f1bcd7 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ぴこさん» コメントありがとうございます!わー!先生パロのお話も読んで頂けたとは…( ;∀;)!嬉しいです、あの2人のお話もまた書きたいなと思っていたのでやる気が出てきました笑 リアルな2人の関係性はこんな感じかな、と思い甘めな設定で書かせて頂きました(*^^*) (2019年9月18日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年7月19日 2時