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「そうそう、半分くらい入り口のところでちょっと落として…」
「こう?」
「うん、」
マニキュアを塗りたい、だなんて可愛いお願いをされて、こっちとしてはもう沢山キスをしてあげたいくらいなのだけれど、本人はめちゃくちゃ真面目な顔をしている。
こんな真剣な顔を見たのは、もしかしたら、私が帰省した時に北山が勢いで会いに来てくれて、その流れで両親に挨拶することになった以来な気がする。
あの時の真剣な顔はとても格好良かったけれど、今のこの真剣な顔はひたすら可愛いという感情しか湧かない。
何でそんな真剣なの……
と、今にも笑い出してしまいそうで辛い。
「ぬ、塗るよ?」
「うん、…そうそう、ちょっと押し付けて広げるようにして」
もしかしたら、男の子がモノづくりをするのと同じ感覚なのかも知れない。
ペンキを板に塗っていく作業と同じ感覚なのかな。
右手の中指。
北山は塗り終えると、ふー、と深く息を吐いた。
「ごめん…ちょっと指についちゃった……」
しょんぼり、と効果音まで見えるくらい落ち込みながらその爪を見てくるので、我慢できず覗き込んでキスをした。
「、っ、びっくりした」
「ありがと、残りの指もやる?」
「え、あ、いい。……満足したっ」
「ふふ、じゃあ、また今度お願いする」
確かに指にまでちょっと広がってるし、端の方は塗りきれてないけれど、この不器用さがどうしようもなく愛おしい。
私が怒っていないことに安心したのか、北山が話し始めた。
「いっつもさ、爪の色変わってるの見るの好きでさ。でも俺いない時に塗ってるじゃん?…まあ、だから、塗ってみたいな、って」
「匂い気になるかと思って、いない時に塗ってたんだよね」
「別に、気にしないよ、」
照れたように視線を彷徨わせつつも、すぐに私の爪に戻ってくるから本当に可愛い。
爪を素早く塗り終え、今度は乾くのを待つ。
「それ、どれくらいで乾くの?」
「んー、このブランドのは割と早く乾くから30分もあれば乾くよ」
「そっか……風呂入ってくるわ」
そう言ってやっぱり少し照れたように部屋を出て行く後ろ姿にまた愛しさが込み上げる。
こんなにも早く乾いて欲しい、と思ったことは今まで無い。
それにその夜、私が手でアレをアレすると、北山があまりにも興奮するから、思わず笑ってしまって、めちゃくちゃに抱かれた事は言うまでも無い。
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魚(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!高嶺の花シリーズ、書き始めた当初は短編で終わる予定だったんですがそう言って頂けて嬉しいです(*^^*) 誕生日の後日談は下書きに眠っているのでもうすこし書き加えたら出しますね〜! (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ふじみつさん» コメントありがとうございます!お返事すっかり遅くなってすみません。゚(゚^ω^゚)゚。!魔法使いさんシリーズに探偵シリーズに…この前更新したのはいつだっけ…という作品ばかりでお待たせしてすみません!いつか書きます!笑き (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんにちは、魚さんの作品いつも更新楽しみにしてます!個人的に高嶺の花シリーズがとても好きで、なん度も読み返してます。北山くんの誕生日の件の続きがとても気になります、、、ぜひ見たいです^ ^ (2019年9月26日 10時) (レス) id: 1e2dbff765 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - こんにちは。みっくんのお誕生日になんて素敵な物語!ありがとうございます。私「春」がとても好きで、教師さんも、バーテンさんも、探偵さん、魔法使いも〜〜!完結したばかりですが、色々続き待っていても良いですか? (2019年9月19日 11時) (レス) id: a043f1bcd7 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ぴこさん» コメントありがとうございます!わー!先生パロのお話も読んで頂けたとは…( ;∀;)!嬉しいです、あの2人のお話もまた書きたいなと思っていたのでやる気が出てきました笑 リアルな2人の関係性はこんな感じかな、と思い甘めな設定で書かせて頂きました(*^^*) (2019年9月18日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年7月19日 2時