2人の短いお話 その8

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学生最後だから思いっきり派手な髪型にしよう、と唐突に金髪に染めて帰ってきたその日。

俺を見て藤ヶ谷は目を見開いた。
そしてその夜は何故か藤ヶ谷がめちゃくちゃ積極的だった。

上に乗る藤ヶ谷から見下ろされて、「気持ち良い？」だなんて聞かれた時にはもうこのまま死んでも良いと思った。死ねないけど。



ようするに俺の金髪がたいそうお気に入りなようで、ブリーチした俺の髪の為に幾つものヘアケア製品を購入してきた。


俺のことだから、トリートメントをしてから少し時間をおく、だなんて手間な事をしないのを見越しているのか、最近はよく一緒に風呂に入ってくれる。


まじで金髪効果さまさまである。



撫でてくれる手付きが気持ちよくて目を閉じると、ちゅ、とおでこにキスをされた。

びっくりして目を開くと、意外と近いところに藤ヶ谷の顔があって仰向けからそちらの方に体を向けると、ほっぺを撫でられる。





「んんー、なんだよぉ」
「今日の北山可愛く見える」
「格好良いの間違いじゃなくて？」
「それはいっつもだよ」
「ふは、なに、何か欲しいもんでもあんの？」





ツン、と藤ヶ谷の形の良い鼻を人差し指で弾くと喉を鳴らして笑った。こんな馬鹿みたいなやり取りをしていると、藤ヶ谷は何故か下の方に移動して俺の上に乗り上げてきた。





「……？」
「コレが欲しい」






こてん、と首を傾げて、何ならハートマークまで語尾に付けてくれて、コレ、と言ったものが、まさしくコレで、ソレ、で、アレ、なのだから鼻穴が広がる。






「あの、ふ、じがや、さん？」
「あ、おっきくなった」






むぎゅ、とスウェット越しに軽く握られ一気に背筋が震えた。






「……まだ眠い？」
「んもー！俺明日早いのにー！」





ふふふ、と笑う藤ヶ谷に勢いよく覆いかぶさった。

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