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藤ヶ谷が作ってくれた鍋をつつきながら、酒もどんどん進む。
「北山、俺のバイクずーっと勝手に使うんですよ」
「あー、ほんまそういう所あるよな。人のモン、まるで自分のモンかのように扱う所」
「ねー！」
「…」
あまり酒が得意ではない藤ヶ谷はチューハイですっかり出来上がってしまい、大倉も饒舌になり2人で先ほどから俺の昔話で勝手に盛り上がられている。
俺の話なのに、俺が置いてきぼりってどういうこと…？
1人で酒を飲んでいる気分になっていると、隣に座っていた大倉が肩を回して来た。
「なー、2人はさー」
「何だよ、重いな」
「将来、どうしたいんー？」
「は？何、急に…」
酔っ払っているのは確かなのだけれど、いきなりそんな事を聞いて来るだなんてどうしたんだろう。藤ヶ谷も困惑したような表情を浮かべている。
「じーちゃんなったら、海外住みたいー、とかそういうの無いん」
「はあ？あー、もう忠くん、飲みすぎじゃね？」
「えーやん！藤ヶ谷くんは何か無いん？」
「え、俺は…別に…」
「ほんまー？」
やめろよ、と俺が大倉の手から缶ビールを奪おうとすると、藤ヶ谷が口を開いた。
「北山に…、毎日手料理食べてもらいたい、です」
ぼそ、と呟かれた藤ヶ谷の本音に、大倉がふうんと満足そうに頷いた。
「ええなあ、藤ヶ谷くんのこんなに上手い飯毎日食べれるんやったら俺も嬉しいわ」
「いや…、そんな事ないです…」
“毎日手料理を食べてもらいたい。”
恋人からそんなことを言われて嬉しいはずなのに、どうして俺は素直に喜べないんだろう。どうして藤ヶ谷から求められると、俺は一歩引いてしまうんだろう。
藤ヶ谷から貰う言葉を、時折、自分をどん底に陥れる言葉のように捉えてしまう時がある。例えば今みたいな言葉を貰うと、途方も無い恐怖に襲われるような感覚になるのだ。
“じゃあ、俺と北山は、家族になれないのかな”
分からない。
藤ヶ谷との未来が、俺にはうまく描けない。
俺が1人で押し黙っていると、急に2人も静かになったのに気付き顔を上げると、大倉が真面目な顔つきで俺を見ていた。
「なに」
「宏光は…何が怖いん？」
「…さっきから変だよ、忠くん」
「何でお前はそうやって大事なことから逃げるん？10年前から、ほんまそういうとこが変わっとらんのやって」
“10年前と、宏光は何も変わっとらん。”
昨日の大倉の言葉がフラッシュバックした。
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魚(プロフ) - xxxさん» コメントありがとうございます！高嶺の花シリーズ、本当はシリーズ化する予定ないまま書いたのですが意外と皆様から好評で嬉しい限りです…｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡まだ完結はしておりませんので、気が向いたら書かせていただきますね！ (2019年9月7日 13時) (
レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - もっともっと続きを読みたいです！これからも頑張ってください！ (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - 初めまして。高嶺の花シリーズ大好きです。 (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» どれもこれも超未完成な中途半端な状態だったんですが、下書きにしておくのも何だかなあ…と思い、公開してしまいました…|･ω･`) いつも適当な更新スタイルですみません！笑 気が向いたらシリーズ化していきたいと思っております〜！ (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - あんさん» お返事遅れてすみません｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡！あんさんの作品を読んでいて、Kさんの方がFさんに対する独占欲強いんだろうな、と思い、Tくんと居るところを見てめちゃくちゃ嫉妬する…っていう展開を考えて書かせて頂きました笑 (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2019年4月14日 1時
