君から逃げたい ページ13
2人の短いお話 その4より言葉シリーズ
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華の金曜日。
10連休を前に、駆け込み需要とでも言うかのように怒涛の忙しさに追われた1週間を終えた。
疲れ切った体に鞭を打ち、マンションまで無事に辿り着いた。そのまま浴室に飛び込み、シャワーを浴び終えると、先ほど帰って来た時にはいなかった同居人がリビングで缶ビールを煽っていた。
「あれ、おかえり。」
「おん。お前もお疲れさん」
大倉が渡してくれた冷えた缶ビールを受け取り、プルタブを引っ張ると、プシュ、という炭酸の音が鳴った。そのまま直接口に運ぶと、体が喜びで悲鳴を上げた気がする。
「んあ゛あ゛…うっまあ…超うめえ…」
「おっさんくさ」
「ああ…このために頑張ってきたわ…」
背広を脱いだだけの恰好の大倉の隣に腰かけながら、適当にタオルで髪を拭いた。乱雑な拭き方のせいで、水しぶきが軽く大倉のYシャツに飛んでしまい、染みを作った。
「あ、ごめん。てか忠くん、風呂入んねえの?」
「お前が入っとったから。これ飲んだら入るわ」
「そっか」
疲れたなあ。
ほんまやな。
2人とも疲れ切っているのは同じようで、頭には何の話題も浮かんでこない。空っぽの身体に、ビールの苦さが心地良く広がって行くだけで、口数少なくひたすら2人で缶ビールを傾けた。
そのままぼーっとしながら飲み続けていると、大倉は重い腰をあげてシャワーを浴びに行った。
1人になってしまったリビングで、2本目を求めて立ち上がった時、鞄に入れっぱなしだったスマホの存在を思い出した。
「…げ」
スマホの画面をタップして表示させれば、仕事関係のメールが既に何件か溜まっていて、10連休明けの自分を想像してまた憂鬱な気分になった。
カレンダー通りの休日ではあるけれど、いざ実際に10日間も休めるとなると、少し落ち着かない気分になってしまうのは日本人の
でも今日はもう仕事をしたくない。
スマホを閉じようとすると、スマホがまた震えた。
♪ー♪ー♪ー
「…」
画面に表示された名前に自然と口角が上がった。応答、をタップしてスマホを耳に当てた。
「もしもーし」
『あ、もしもし?北山、今大丈夫?』
「おー、お疲れ様」
スマホを耳と肩で挟み、冷蔵庫から新しい缶ビールを取り出した。
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魚(プロフ) - xxxさん» コメントありがとうございます!高嶺の花シリーズ、本当はシリーズ化する予定ないまま書いたのですが意外と皆様から好評で嬉しい限りです…。゚(゚^ω^゚)゚。まだ完結はしておりませんので、気が向いたら書かせていただきますね! (2019年9月7日 13時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - もっともっと続きを読みたいです!これからも頑張ってください! (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - 初めまして。高嶺の花シリーズ大好きです。 (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» どれもこれも超未完成な中途半端な状態だったんですが、下書きにしておくのも何だかなあ…と思い、公開してしまいました…|・ω・`) いつも適当な更新スタイルですみません!笑 気が向いたらシリーズ化していきたいと思っております〜! (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - あんさん» お返事遅れてすみません。゚(゚^ω^゚)゚。!あんさんの作品を読んでいて、Kさんの方がFさんに対する独占欲強いんだろうな、と思い、Tくんと居るところを見てめちゃくちゃ嫉妬する…っていう展開を考えて書かせて頂きました笑 (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年4月14日 1時