2人の短いお話 その7

りあたいみっくん ページ1

2人の短いお話 その6『正解は何？』の続き

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「やべやべ、始まっちゃう」




ふんふふーん、なんて鼻歌を歌いながらテレビの前に陣取っている恋人を、俺はどんな気持ちで見れば良いんだろう。






「ビールは？」
「いらない。圭吾と勇吾ちゃんと見たいから」
「あ、そう…」







圭吾も勇吾もここにいるんですけど。

そう言いたい所をグッと堪えて、ドラマにどっぷりハマっている恋人の隣に大人しく収まった。



＿＿



先週の初回放送直後、まさか感想が送られてくるなんて思っても居なかった。

北山の事だから次の日の歌番組の収録に備えてどうせさっさと寝ているだろう、と思っていたところ、スマホにメッセージが送られてきた時、眠気が一気に吹っ飛んだ。


連日の撮影に、来月から始まるライブのリハ。メンバーよりも遅れている振入れもあり、スケジュールはかなりタイトだった。

勿論ありがたい事なのだけれど、忙しさのあまり北山と2人で最後に過ごしたのはもう何か月も前の事だった。


それだというのに、この男。

やれ薮の舞台を観に行っただの、塚ちゃんと飲みに行っただの、玉森と収録だの…！
口を開けば違う男の名前しか出てこない。


こっちがどんな思いで我慢してるか知ってんのか…！！


と、思っていたところに落とされた先週の北山からのメッセージ。



無理です。
自分の欲望には忠実に生きます。


歌番組の収録が終わり、きょとん、とする北山を半ば拉致するように車に押し込んだ。そして俺の部屋の扉を開けた瞬間、もう俺自身の記憶も意識も無いくらい抱いた。



こんな馬鹿みたいに抱いたのっていつぶり…？
あー、最高。
やっぱり北山って名器なのかな。
…絶対こんな事言ったら殺されるわ。



＿＿




で、そんな事があったのがつい先週の話だ。


俺に気絶させられるくらい抱かれた事すら忘れているのか、北山は呑気にドラマを今か今かと待ち望んでいる。








「おー！始まったぁ」
「うん、そうだね…」
「今週、勇吾いっぱい出る？」
「あー、まあ、うん」







隣に恋人が座っているというのに、俺には目もくれずテレビに食い入る北山を見ていると、嫉妬心が湧いてくる。でもその北山の瞳に映るのも俺だ。うーん、難しい。





「うわ…っ゛」





1人でバカみたいな葛藤をしていると、急に北山が唸った。

え？と北山を見ると、大きな目を更に見開いて画面を見つめていた。

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