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ハッピーエンドなんて待ってない ページ3

下書き供養。
ハピエンにならなかった暗いお話

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「ごめんとかさ、悪いって分かってるなら浮気なんてすんなよ」
「…っ、ごめ…ぐすっ」






土下座をしながら涙を零すのは、恋人という肩書きに、今にも『元』が付きそうな男だった。






約1ヶ月の出張から帰って来て約束していたのは明日だったけれど、驚かせようと1日早く無理やり最終の新幹線に飛び乗った。



合鍵を使って静かに入ると、そこには見慣れぬ華奢なパンプスと、俺が2年前の誕生日に贈った革靴が並んでいた。その時点で不信感はあったけれど、もしかしたら北山のお母さんかな、なんて淡い期待を抱いた自分を今となっては殴りたい。



リビングには明かりが付いたままで、そして空き缶がいくつかテーブルに転がっていて、誰かと飲んでいた事が一瞬で分かった。


まさか、なんて逸る心臓を抑えながら、震える手で寝室の扉を開けた。


ちょっとだけ臭う行為の匂い。
ベットに浮かぶ2つの体のライン。




ガシャン!






「…っ、ふじがや?」
「…ん?何…?」







お土産で買ってきた地酒の赤ワインが手元から滑り落ち、そしてビニール袋を突き破ってフローリングへと広がっていった。

ドク、ドク、とフローリングに広がっていくワインは、まるで俺の血のようだった。






「藤ヶ谷…っ!」







焦って起き上がった恋人は、まあそれはそうだろう裸だった。俺はと言うと何も声をあげることなく、ただそのまま何も言わずに来た道を戻った。






「待って!」






北山は焦ってベットから転げ落ちたけれど、そんな姿ももう滑稽にしか見えない。俺は寝室の扉を後ろ手に丁寧に締め、そして玄関で靴を履き直した。






「藤ヶ谷!!」






グイッ






後ろから必死に引き止めて来たその腕を思い切り振り払った。ドン、と鈍い音を立てて、北山はその場に倒れこんだ。

最後に何か文句を言ってやろうと後ろを振り返ると、その光景にヒュッ、と息を飲んだ。






「……ってぇ」
「お前、足切れてんじゃん!馬鹿じゃないの?!」







急いで履いたのであろうスウェットから出た素足は、血まみれになっていて、北山が追いかけて来た通り道には血の跡が出来ていた。







「……行かないで、」
「…っ、今は足の怪我だろ!馬鹿!」







足の出血が止まらない様子の北山は、どんどん顔色が悪くなっていく。それでも俺を離すまいと必死に腕を伸ばしてくるから、俺もその手を仕方なく取ってしまった。

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(プロフ) - xxxさん» コメントありがとうございます!高嶺の花シリーズ、本当はシリーズ化する予定ないまま書いたのですが意外と皆様から好評で嬉しい限りです…。゚(゚^ω^゚)゚。まだ完結はしておりませんので、気が向いたら書かせていただきますね! (2019年9月7日 13時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - もっともっと続きを読みたいです!これからも頑張ってください! (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - 初めまして。高嶺の花シリーズ大好きです。 (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - たいちゃんらぶさん» どれもこれも超未完成な中途半端な状態だったんですが、下書きにしておくのも何だかなあ…と思い、公開してしまいました…|・ω・`) いつも適当な更新スタイルですみません!笑 気が向いたらシリーズ化していきたいと思っております〜! (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あんさん» お返事遅れてすみません。゚(゚^ω^゚)゚。!あんさんの作品を読んでいて、Kさんの方がFさんに対する独占欲強いんだろうな、と思い、Tくんと居るところを見てめちゃくちゃ嫉妬する…っていう展開を考えて書かせて頂きました笑 (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年4月14日 1時

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