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何そんな可愛い事言ってんの?
「…っ、むかつく」
何なんだよ、あいつ!
はあ?
何故か火照る体に、むしゃくしゃして髪をかきむしった。
「あの…」
「え?…あ、俺?」
「わ…っ、は、はい」
急な声掛けに、ぱ、と横を見ると恐らく年下の学年の女子たちがこちらを見ていた。
恐らく頬を赤らめている女子が俺に話しかけてきた子だろう。その向かいに座っている子は、俺とその子の間で視線を不安そうに揺らしていた。
「き、北山先輩、具合悪いんですか?大丈夫ですか?」
「んあ?ああ、うん、大丈夫だよ、ありがとう」
こうも丸出しな好意を向けられると、若干引いてしまうのが本音だけれど、蔑ろにはしないで扱う。
まあ可愛いから名前くらい聞いても良いかな。
…そう思いつつも。
心ここにあらずな気分なのはきっと藤ヶ谷のせいだ。
「じゃ、俺行くね。心配してくれてありがとう」
「っ、あ、はい。お大事にして下さいっ」
うーん、ごめんね、ばいばい。
バイクの鍵を持っていない方の手で、女の子たちに手を振りながらテーブルから離れた。視界の端で明らかに落ち込んでいる女の子の様子を捉えたけれど、残念ながら相手にする気は起きなかった。
「ったく…まじで調子狂うわ」
ぶつくさ文句を言いながら、藤ヶ谷のバイクの隠し場所に素直に向かっているのもちょっと癪だ。
___
「ほら、早く乗れよ」
「…、おう」
それからすぐに藤ヶ谷は本当に帰り支度を済ませてやって来たので、う、と言葉に詰まってしまう。
本当にコイツ送って行ってくれんのかよ。
ヘルメットを受け取って、バイクの後ろに跨った。華奢なように見えて意外としっかりとした体付きなのだと腰に手を回しながら思った。きっとこういうギャップが女子にはウケるのだろうか。
「何か今日大人しいね、そんな具合悪い?」
「は…?え、別に、大丈夫」
信号待ちの時に急に話しかけられてビクッ、としてしまう。声色があり得ないくらい優しくて戸惑ったのだ。
「そう?」
軽く俺に笑みをくれて、またエンジンに足をかけて出発させた。
ええ…今の微笑み何ぃ…?
こいつって女の子に対してこんなんなの…?
無理無理!
こんな糖度ゲロ高いの耐えられない!
「…まじで調子狂うわ」
「えーなにー?」
「何でもねえよー!!!」
ただでさえ頭痛がするのに、胸まで痛くなってきた気がする。
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魚(プロフ) - A.Fxxxさん» コメントありがとうございます!過去作品読み返していて、続編書きたいなあと思い立って高嶺の花シリーズ書かせて頂いたのですが、ご好評頂けて嬉しいです!ニカ玉カップルとダブルデート編くらいまでは書いていこうかと思いますので、また読んで頂ければ嬉しいです! (2019年4月13日 2時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - yikumiさん» コメントありがとうございます!話数の関係で短くなってしまったんですが、このシリーズのカップル書いていてとても楽しいです笑 北山先輩は無自覚なんですがめっちゃモテる男の設定で、実は藤ヶ谷さんの方がヤキモチを妬いている…という設定で書いてあります笑 (2019年4月13日 2時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
A.Fxxx(プロフ) - 魚さんこんばんは!いつも拝見してます。魚さんな北藤作品大好きです!高嶺の花シリーズはほんとうにいつもきゅんってします!いつもステキなお話ありがとうございます。 (2019年4月12日 23時) (レス) id: 7ceefe7785 (このIDを非表示/違反報告)
yikumi(プロフ) - 魚さん、今晩は。「元彼氏/高嶺の花」シリーズの藤北カップル素敵過ぎます。美人なのに北山さんの前では可愛くなる藤ヶ谷さん…、きゅんとしました。知らない間に人の心を掴んでいく北山さんは罪な男性だと思いました。素敵な作品を有難う御座います!! (2019年4月12日 21時) (レス) id: 36ae0e2f2c (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 桜鈴さん» コメントありがとうございます!意外と好評頂けていたようで作者としても嬉しい限りです。゚(゚^ω^゚)゚。 個人的にはニカ玉カップルも誕生させたいなあ、と考えているので、また更新させて頂きたいと思います! (2019年4月11日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2019年3月17日 21時