2人の短いお話 その6

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「北山くん、もう昼休みなったけど、午後の授業出られそう？」





保健医が聞いて来たけれど、あいにく体のだるさは治っていなかった。午前の授業の間ずっと寝かせて貰っていたけれど、その問いかけに対して、首を横に振った。






「帰ります…」
「うん、そうしな。担任の先生には言っておくから帰って良いよ。気を付けて」
「はい、すみません。ありがとうございます」






まあちょっと寝たらマシになったかな。
ぽきぽき、と首の骨を鳴らして、荷物を取るために教室へと足を向けた。






＿＿＿＿







「あれ、北山。どしたの」
「んー、ちょっと体調悪いから帰るわ」
「まじ？大丈夫？」






俺の席の近くのクラスメイトが弁当を頬張りながら聞いて来たので、そう答えた。そして教室を見渡したけれど、目的の人物はどうやら不在のようだった。






「…なあ、藤ヶ谷見てない？」
「ん？藤ヶ谷？見てねえけど」
「あー、そっか。」
「何か渡す物とかあるなら、渡しておくよ」






そう気遣ってくれるのは有難いけれど、特に何かアイツに用事があるわけでは無かったから、返事に困ってしまう。






「いや…何でも無い。じゃあ帰るわ」
「おう。気を付けてな、お大事にー」






ひらひら、と手を振るクラスメイトに背を向けて教室を出てから、スマホを取り出した。

まあ、会っておいた方が後で小言は少ないだろう。そう思い立ち、連絡先を表示させて発信ボダンを押す。






♪ー♪ー




『もしもし……』






電話口の向こうからはざわざわとした声が聞こえてきて、何処か人ごみにでもいるのだろうか、と考えた。





「もしもしー？藤ヶ谷、今どこいんの？」
『学食だけど』
「あ、まじ？飯もう食い終わった？」
『いや、後半分くらい』
「おっけー、今から行くからちょっと待ってて」






なんだ、学食か。珍しいなあ。
藤ヶ谷からの返事を待たずに通話を終了してスマホをしまった。




学食に着いて藤ヶ谷を探すと、もう既に藤ヶ谷は食べ終わってしまっていたようだった。俺の姿を見るなり若干睨んでくるから、これは機嫌が悪そうだ。






「あれ、もう食い終わってんじゃーん」
「お前が来るのが遅いんだわ…」
「藤ヶ谷何食ったの」
「日替わり」
「ふーん」






藤ヶ谷の空になった定食の皿を前にしながら、向かいの席にそのまま腰かけた。

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