魔王の勇者 (ページ27)

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自分の趣味を語ってみる…… ページ27

話題の転換をルナさんに持ちかけたのは良いが何について話すべきか。……とりあえず興味持ってもらえるのかは分からないけど僕の好きなものについてでも話してみるか。

「それじゃあ、僕が向こうの世界で好きだったものについて話しますね。」
「そうしてちょうだい。」
「まず、魔道具に遠くで魔道具が記録した映像見るというものは存在しますか？」
「ええ。いくつか私達魔族でも保持しているわね。それがどうかしたの？」
「えっと……ちょっと待って下さいね。」
「分かったわ。」

　僕は厚さ1cm程の本の隅の余白に丸を上から下にずらしながら1ページずつ描いていった。ベッドの上から降りたルナさんは僕が本に書き込んでいるのを覗き込み、まじまじと丸を眺めながら首を傾げる。

「これがどうかしたの？」
「ちょっと見てて下さい。」

　僕は書き込んだ本を手にとってパラパラとめくる。要はとても簡単なパラパラ漫画だ。

「僕の画力が無いので分かりづらいかもしれませんけどこの丸が動いてるように見えませんか？」
「確かに動いているわね。今まで気づかなかったけどこんな簡単な仕組みでものが動いている様子を表現できるのね。」
「これの上位互換と言えるものに、もっと細かい差分の絵をもっと速く連続で表示することでフィクションの物語を絵のキャラクターを動かして表現しているアニメ、というジャンルがあるんです。僕はそのアニメが好きでよく見てたんです。」
「表現する方法の一つなのは分かったけどそれを見ると言われてもよくわからないわね。具体的にどんな話を見てたの？」

　そうか。日本ではアニメにある程度のイメージが定着してるけどこの世界にそんなものは無い

「そうですね……フィクションならではの様々な設定の学校に通う少年少女達の恋愛模様や日常を描いた物語や奇妙なことに今まさに僕が体験しているわけですけど異世界に転移、又は転生した主人公が異世界で冒険したりする物語などです。まぁ僕が現実味のないと思える物語が好きなんですよ。こちらの世界だと吟遊詩人の英雄譚とかですかね？」
「へえ〜いつか見てみたいわね。他に何か好きなものはあるの？」
「物語の内容は被るんですけど、ライトノベルという表紙や挿絵がキャラクターに重点を置いたものになっている作品が好きなんですよ。」
「そんなものもあるのね。それもいつか読んでみたいわ。」
「そうですね〜いつかは僕の世界を案内してみたいですね。」

　……いつかは帰れるんだろうか。