魔王の勇者 (ページ20)

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魔法への興味ページ20

あれからまた数週間が経ち、僕は木剣なら自由に振り回せるようになっていた。そして現在は実剣で素振りをするようになった。この世界に来てから大体二カ月……異世界に来る前は自分が武器を振り回す日が来るとは微塵も思わなかった。

「そう言えば魔法について何一つ知らないな。折角異世界に来た訳だし本当に今更だけど誰に教わるのが良いのか分からないな……。」

　あれ？二ヶ月程ここにいるのに、増えた僕の知り合いって魔王のルナ様とその側近で実は悪戯好きなレナさん、魔族の騎士団の方々、魔王城内でよく合うメイドの方々……あれ？ちゃんと話したのってレナさんだけ？

「よく考えたら自分のステータスが上がるのにワクワクしてほとんど部屋に籠もって筋トレと素振りか広い場内の中庭でランニングくらいしかして無かったもんな……。最初に呼ばれた時からルナ様には呼び出されて無いから本当にたくさん話したのはレナさんだけ……。」

　この中で魔法を教えて貰えそうなのは……

「ルナ様は言わずもがな忙しそうだしメイドさん達も忙しそう。騎士団の人達は魔法は使えるけど教えれる程は出来ないって言ってたし……となると残るはレナさんだけどあの人も来る時は何日か連続で来るのに来ない時は何日も来ないからな……教わるのは人を決めてしっかり教わりたいのに皆忙しそうだから中々難しそう……。」

　今更ながら魔法を習得したいと思い立ってから数分、割とじっくりと悩んだが身近に継続的に教えてくれそうな知り合いはいなかったようだ。

「そう言えば暫くウィレーヌ様から連絡来て無い。やっぱ神様だから人間とは時間の感覚が違うってことかな？寂しがってたように見えたけどもし自重してるとしたら凄い申し訳無いな。そう言えばこっちから連絡は送れないのかな？ステータス。」

　ふとそう思った僕はステータスを開く。そして何かしらウィレーヌ様と連絡取れるものが無いか探してみる。

「……無い。」

　どうしょうもないか。魔法はいつかちゃんと教えもらうとして今は剣術に集中しよう。

「そういえば騎士団の人達から貰った引退した方への紹介状があったはず……そろそろ本格的に剣を教えてもらいたい。思い出してみれば今まではただ素振りしていただけで剣を使った戦い方を身につけたという事じゃないし。たしかここに……あった。」

　丁寧に畳まれた紹介状を取り出し、ベッドの上に寝っ転がる。そしてそれを見ながら考え事を続けるのだった。