一方その頃……2 ページ17
先程勇者様方の会話を聞いてしまった私はその内容を聖女であるエレナ様にお伝えする。
「……なるほど、そんなことが……。報告ご苦労さまです。ついこの前休暇を出したばかりだというのに。」
「勿体無きお言葉です。それに私達の仕事はこれですから。」
「しかし……やってしまいましたね……。」
珍しく取り返しの付くか分からないミスを犯したようで、憂いを帯びた表情をするエレナ様。
「まさか価値無しと判断せざるをえないFランクが他の勇者様方のこの国への心証につながるなんて……。いくら焦っていたとしてとも、慎重に行動するべきでした。彼を追放してしまったあの魔法陣を調べ直してみましょう。彼を一体どこに転移させてしまったのかを突き止めて下さい。なんとしても他の勇者様方にはこの国に居てもらわなければなりません……。」
「了解しました。お任せを。」
予想できてたけど、新しいお仕事はやっぱり普通のメイドとは違うなぁ……。まあ他国相手に頑張ってる同僚達に比べればマシなのかな？
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「セイッ！」
「オラァ！」
「ハァッ！」
「もっと素早く！力強く振れるようになれ!お前達なら必ず私以上の戦士になれる!」
ユウキ王国王城の中庭では本日も剣術系のスキル持ちが多いAグループの男子が王国第一騎士団の団長さんに見てもらいながら素振りをしている。ちなみに光神君と荒葉君は剣と魔法を組み合わせたりできる特殊なスキルのようで、他の場所で近衛騎士団という普段は王様の護衛をしている人達に教わっているらしい。
「んーっ！はぁ〜やっと魔力切れた……。」
私は回復が出来る魔法系統のスキルが多いのでいわゆるバフ、というものをずっと自分や目の前の小鳥達にかけ続けて魔力の枯渇による最大値の増加、スキルの熟練度を上げることによる威力増加を目標としている。正直魔力が切れると凄い脱力感があるし、ずっとバフをかけたり植物の傷を癒やしたり自分の肌をほんの少し切って治したりするのは退屈になって来た。
「最初は楽しかったけど毎日全く同じ作業なんだもの……飽きるよぉ〜。」
つい独り言を呟いてしまうぐらいには退屈し始めている。ちょっと身体が怠いけど、魔力が切れたことだし散歩でもしてみようかな？きっとそろそろ水穂も魔法の訓練が終わってこちらに向かってるだろうし。
「あとどれくらい、こうして頑張れば良いのかな……？」
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作者名：めがねとかがみ | 作成日時：2020年9月15日 23時
