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沈黙が車の中をしばらく支配していた。
息をつきながらずっと昔に飲んだような桃のネクターの味を思い出そうとしたけれど、無理だった。
“『なんでそんな無理すんだよ』”
だって
そうすることしか、出来なかった。
助けを求めることなんて、出来なかった。
マネージャーがため息をついて、それがしんとした車内に響いて散った。
「…他のメンバーに迷惑かけても平気なの？あなたは」
どうしてこんなことを言わなければいけないのか分からなかった。
「………、なんで……、」
「現に迷惑かけてるでしょう。今日だってフラフラだったじゃないの。違う？」
「それは…」
「体調管理も仕事のうちって言われてるんじゃないの？ずいぶん無責任な行動だとは思わないの？」
「………」
「ツアーが重なって忙しくなるって前から言ってたでしょ。特にあなたは前出る機会も多いんだから、ちゃんとしなさい」
「……」
「だいたいAがそういう仕事をしてるって彼も分かってるはずなのにこんな風にさせたの？」
なんで
「こんな風って…」
「こんなので体調崩すなんて冗談やめて。明日からはちゃんと集中しなさいね」
こんなのって
なんで
「…なんでそんなこと言われなきゃいけないの……」
なんで
「……今の状況分かって言ってるの？」
「…じゃあどうすればいいの…？笑顔作ってウソばっかり言って、そうやってやってけばいいの…？」
「そうよ」
マネージャーはイライラしているのかハンドルを乱雑に切った。
なんで
「なんで……？」
「あなたがE-girlsだから！」
.
「…………、」
「こうやって仕事をもらえて前に立ててるのはなんで？E-girlsがあるからでしょう！あなた1人の力じゃないの！」
口調を荒げた彼女を見て、反省する気持ちは湧いてこなくて、逆に心は冷めていった。
目の前の信号が当然黄色に変わり、赤い光が灯された。車が急停止する。
「…じゃあやめる…」
「は？」
「こんなのやめる。E-girlsなんてもうやめる！」
「…何言ってるの？」
あなたにそんな勇気はない、と言わんばかりの顔を見て、目頭からぽろぽろと涙がこぼれおちた。
1度も見せたことのない涙がこぼれたことで、マネージャーはいくらか驚いた顔をした。
「…やめる。……降りるから、」
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
