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反対側の信号の緑がチカチカと点滅するのを視界の端でとらえた。
「ちょっとA！？」叫び声を背中で受けながら、シートベルトを外して車から降りた。
わたしが降りてから信号がすぐに緑になって、クラクションを鳴らされているのを見てから走った。
なんで
頭がくらくらする
落ち着いて過ごせなんて言われたばかりなのに、走って、涙を流しながら走った。
なんで、なんで、なんでってどうしようもない思いだけが胸の中に渦巻いてどろどろと支配して、どうしようもなかった。
しばらく走っても、街はずっと明るいままで、携帯をつけて時間を確認した。
11:27 P.M.
明るい街の夜
遠目に工事現場の明るいライトがぼうっと浮き上がって見えた。
光が揺れて、弾けて、消えてゆく。
信号の緑も、工事現場の交通規制の蛍光黄色も、航空障害灯の赤も、スクリーンに映った青 ピンク 紫も、明るすぎて、自分の居場所はここではないと言われているような、気分
震える手のまま、携帯を出した。
電話のアプリを選んで、連絡先を開いて、その間もぽたぽたと絶えず涙がディスプレイに落ちて、文字が霞んで滲んで、何度も拭かなくてはならなかったけど、
躊躇わずに彼の名前を選ぶ。
発信音を聞きながら、とぼとぼと東京の中心に向かって歩いた。明るくて街灯もいらないような夜
都合良すぎる行動なのに、心が限界を迎えて何も考える余裕はなかった。
ギリギリの心のまま浮かんでくる想いは、マネージャーに謝らなきゃ、とかメンバーへの申し訳ない気持ちでもなく、
彼に会いたいという、
奥底に閉じ込めたはずの、
でも1番の願いだった。
「…樹くん…？」
何で出るの
矛盾してる想いも、何もかもが。
「……、どうした…？」
「……」
彼の声を聞いた瞬間、迷惑とか責任とかE-girlsとか、睡眠不足、ファン、これからのこと、後悔も、…全部消えた。
「会いたい…」
「…え？」
「会いたいよ…樹くんに会いたい…っ…」
涙声が、明るい夜を過ごす若者の笑い声のほんの少し上を通って、飛ばされていった。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
