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思わず壁に手をつくと、ずる…と音を立てた。
しゃがみこんで、早く治れこんなの早くよくなれと唱えて、でもふらふらしてて立ち上がるのは無理だった。
「Aちゃん！？」
彼の声が聞こえる。咄嗟に立ち上がろうとして、やっぱり無理で、どうしようもなかった。
「大丈夫？どうした？」
彼の右手が、冷たくて気持ちよくて思わず握りしめた。離さないで
「…大丈夫だから、ほんとに…」
「は？ウソつけ…顔真っ白なのに」
「ほんとに、大丈夫…」
「翔平！おい翔平！誰か呼んできて！」
「大丈夫…だから」
「なんでそんな無理すんだよ」
樹くんらしからぬ強い口調だった。
これ以上しゃべれば泣いてしまいそうで、気持ちも悪くて口をつぐんだ。
彼の瞳が目の前にあった。
周囲のざわめきはするりと抜け落ち、彼しか見えない
「A！どうしたの」
マネージャーの声が遠くから聞こえても彼から目をそらせなかった。
彼は髪を少しだけ明るくしていて、前よりずっと垢抜けていて、
半年もあれば人は変わる
わたしだって半年前に切った髪はもう鎖骨下くらいまで伸びて、色も暗くして、派手なメイクで疲れを隠して
「A！行くよ」
マネージャーがわたしの肩に手をおいた。
目をそらした。
「立てない？おんぶするから乗って」
「………」
マネージャーに促されるまま立ち上がろうとして、やっぱり立つことも出来なかった。
マネージャーがため息をついた。
「手、離しなさい」
樹くんの手
ひんやりしていて気持ちがよくて、でもそれ以上に、離したくなかった。
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「一緒にいたい…」
不意に口から溢れたのは、ずっと隠して押し殺していた気持ちで
彼が小さく息を呑んだのが分かった。
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マネージャーはまたため息をつく。
「A。迷惑かけないの。彼も出番なんでしょう」
マネージャーの顔も彼の顔も怖くて見ることが出来なかった。すると彼が小声で「いや俺は出番ないんですけど、」
「だからって駄目なものは駄目。病院行くから、早くして」
「寝れば直ります…」
「そう言って、寝なかったのはあなたでしょう。」
そう言われて返す言葉がなかった。
ほら、とマネージャーがしゃがみこんで、乗るように促した。
従うしかなかった。
「Aちゃん、」
「…樹くん、ありがと…」
手を離す瞬間そう言うと、彼は何かを言いかけ、口を閉じた。
久しぶりに彼の名前を呼んだ
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
