第五十六夜 ページ7
sideうらた
雨で濡れた体に温かい温もりを感じる。
抵抗しようとしたがAは離す気がないらしい。
うらた「離せバカ！俺に殺されるぞ！」
A「出会った日もそう言ってましたね」
うらた「あ…！」
A「私はうらたさんになら殺されてもいいです」
確かにそうだった。Aはあの日と同じ眩しい笑顔で告げる。
あの日と違うのは永遠を手に入れる事よりも一秒でも長くAの傍に居たい事だと思う。
うらた「そんな冗談言うな。俺は嫌だ」
A「冗談じゃありません。本心です！」
うらた「あのなぁ…ってその指、どうした！？」
A「あ、無我夢中で探した時に切っただけです」
俺から離れたAから少しだけ血の匂いがした。
ちょっと舐めるだけでもいいかな？
あああああ！！喉がさっきよりも渇いて仕方ない。
うらた「その血、もらってもいいか…？」
うらた「喉が渇いて死にそうなんだ。頼む…！」
A「え！？それは大変です！どうぞ！」
差し出されたAの指を口に含む。
少しだけ血を吸うと喉の渇きが落ち着いた。
うらた「ん、ご馳走様」
A「もう大丈夫ですか？」
うらた「ああ。助かったよ」
A「本当ですか？お役に立てて良かったです」
今まで吸ってきた血の中でAの血が一番美味い←
それよりも大事な事を言いかけてたんだった。
うらた「実はAに言いたい事がある」
うらた「伝えるか迷ったけど、諦められなかった」
うらた「俺はAが好きだ」
うらた「もう傍に居られる時間は短いけど」
うらた「最期まで俺にAを守らせてほしい」
伝わってくれ、俺の想い。
Aは驚いたのか赤面している。可愛いな←
A「私もうらたさんの事が好きです」
A「強くて、優しくて、カッコよくて」
A「私の中で誰よりも大事な方になってました」
A「不束者ですが、よろしくお願いします…！」
A「わっ！？」
一生懸命に答えてくれるAが愛しくて思わず抱きしめた。
うらた「俺の方こそ、よろしくな」
A「はい。少しだけこのままでいいですか？」
うらた「いいけど、どうした？」
A「顔を見られたくなくて…恥ずかしいので」
うらた「ちょっと見せて？可愛い顔してんじゃん」
A「見ないでくださいよ！////」
うらた「俺しか見てないから大丈夫(ﾁｭｯ」
A「んっ！？////」
俺と目が合った瞬間の隙を見てキスをした。
今すごく幸せだ。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
