ばいばい。 ページ2
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…
それからしばらく話をし、もう辺りは赤に染まっていきそうだった。
「それじゃ、」
「うん、また」
敬語をいつの間にか外していたことに今気がついた。
右手をヒラ、と彼に振り、見えなくなっていったときにお店へ戻った。
彼がいなくなった席に自棄に寂しさを感じた。
丁度日が当たる席のせいで、真っ赤に染まったその席にソッと座る。
暖かい日を浴びているうちに意識はパッと途切れてしまった。
…
ハッと意識を浮上させたときにはもう真っ暗だった。
背中には毛布が１枚掛けられていた。きっと母が掛けてくれたのだろう。
時計を見ると、11時を指していた。
6時間ほど寝たせいで、もう寝れなくなった。
少し冷えた夜の街に一歩外へ出る。
昼よりヒヤッとした外気が心地いい。昼間はあんなに熱かったアスファルトは温くなっていた。
夜の街は少しお店の光はあるものの、空には星がポツリとあり、三日月が浮かんでいた。
彼とみたらロマンチックだったんだろうな、なんてことを考える私は彼に惚れてしまっているに違いなかった。
一目惚れなんてものが本当にあるのだろうか、運命何て、そんな大それたものではない。
目が合うだけでにこっと笑う彼の顔が忘れられなくて、胸が締め付けられた。
「ばかみたい」
１度会って、話しただけで好きになるなんてどうにかしてるなんて自分でもわかっていた。
期待なんてしたくないから、もうキッパリ別れてしまった方が楽なんだから、もういいじゃないか。
人並みの幸せでいいんだ。自分の思いなんてどうでもいい。最大の幸せを求めると誰かがその分苦しむって聞いたことがある。
誰かを苦しめてまで自分の幸せを求めてなんていない。
だから、この気持ちにバイバイしたい。
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作者名：狐兎 | 作成日時：2021年2月14日 23時
