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案の定、長話をしたせいで、仕事が終わらず定時である6時を少々過ぎてしまった。
が、ショッピ君という仲間がいたため、早々に終わらせることができた。
もちろん先輩も巻き込んで。
だが、部署移動があった初日にさっさと帰れるはずもなく、
「さあ、親睦会だ。飲みに行くぞ」
という、課長の一声で居酒屋へ行くことに。
ゲーム楽しみにしてたんだけどな。
仕方ない、飲むか。
居酒屋に来たはいいものの何をどうふるまえばいいのかわからない。
生憎、あまりこういう場に参加したことがない私は飲み会は苦手意識がある。
いつも通り端の席へ座る私はさぞ浮いていることだろう。
何より、先輩の食害の件があって以来、気付いたら、周りの人と関わらないことが増えた。
世にいうコミュ障というやつである。
大学の時は、周りが変だったらしく、自分が社会でいう『変わった人』という部類に入るのをあの食害で知った。
大食いの人くらい、よくいたけどな。
ゾム「大丈夫か？」
やっぱり、私がこういう場を苦手だと知っている先輩がこちらへ来て声をかけてくれる。
「大丈夫ですよ。それより、先輩こそ大丈夫ですか？」
そう、私より先輩の方が大丈夫ではないと思う。
何しろ、酔いが回って饒舌になった課長の愚痴を、さっきからずっと聞いていたのだ。
そちらの方が数倍大変だろう。
ゾム「今回のはまだましやな、この間の方が酷かった…」
と、顔をしかめて言うあたり、いつも先輩が相手をしているらしい。
お疲れ様です。
「損な立ち回りしてますね。先輩もビールいかがですか？」
ゾム「ほんまそれな。頼む。」
ビールを2つ注文し、先輩に目を向ける。
いつもより距離間が近いから、酔っているようだ。
結構、飲まされたのかも。
長い睫毛とか、奇麗だけど大きな手とか、普段あまり見ないような部分まで先輩を見てしまう。
その時、ぱちりと先輩と視線が絡んだ。
見つめ合うが、お互い視線を反らさない。
反らせない。
先輩の翡翠色の瞳には私しか映っていなくて。
その事実に、今更ながら恥ずかしくなり、ちょっとだけ苦しくなる。
私も結構酔ってるかもなあと考えた矢先、
ゾム「雨宮こっち見過ぎやから…」
と、私の頭の向きを、テーブルの方へと動かされてしまった。
視線を、反らされてしまった。
その時ちらりと見えた先輩の顔が赤かったのは、お酒の所為だと思う。
もちろん、私の頬に溜まっている熱も。
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作者名：泡沫羊 | 作成日時：2019年9月29日 0時
