桜魔皇国23日目【午後】2 ページ38
私と吉祥天は、晴さんに運命を元に戻す前の事を教えた。
「まさかさ、こんなにも早くまた縁を持つなんて思って無かったんだよね」
「あ〜…すまないな、気をつけてはいたのだが…」
「縁が跡形もなく無くなる方がおかしいから大丈夫だよ」
「ほ、ホントの事なんですか?」
「うん!ぜーんぶホント!嘘かと思うかもしれないけどね」
「そうなんですか…」
「…しかし全部話したからと言って、また元の関係に元通りと言う訳にも恐らくいかないだろう?吉祥天」
「まぁそうだね」
「え?それって?」
「あたし達はさ、イレギュラーな存在だからさ。強くしたからと言って、またずっと関わるってなると、流石に運命変わるんだ」
「運命を変えない為にも、晴さんがここだという時に運命に抗える為にも、私たちは結局多少しか関われない」
「だから、今ここでの出来事はあまり気にしないでね。不思議な体験かもしれないけど、あぁそんな事あったな程度で良いから」
「分かりました」
「ごめんね、突然」
「いいえ、大丈夫です。僕もなんか…知れて良かったです」
「この事は秘密ね?」
「はい」
「…晴さん、最後に聞いて良いか?今の話と全く関係は無いが」
「?…はい」
「…幼き頃に見た夢の続きがこの先の未来に繋がっていた事、そなたならどうのように思う?」
「正夢的な事ですか?」
「どう捉えても構わない、どのように思う?」
「そうだなぁ…夢の内容によりますけど、嬉しい夢で嬉しい未来だったとしたら、信じていて良かったとは思いますね」
「…そうか、良い考えだ」
「どうして、こんな質問を?」
「いずれ分かる、晴さんなら分かる」
「え?どういう事ですか?」
「ただの勘だ、私の勘はよく当たるのだ」
「はぁ…」
「その日はいずれ来る、待っているといい」
「…分かりました」
そうして、晴さんは帰って行った。
私と吉祥天は鳥居まで見送って、二人で話した。
「…吉祥天、黒闇天は何故このような事を?」
「魎が辛そうだったから、それだけだってさ」
「え?」
「だって、お姫様との別れはさ?もう二度と会えないものじゃんか…だけど今回は、すぐそこにいて会えるのに、会ってはならない別れでしょ?しかも恩人。死ぬほど辛いよ」
「見ていたのか…」
「まぁね、それで黒闇天が頑張ったって訳よ」
「でも、あんなに疲れる事を…」
「あたしも一応それ言ったんだよ?だけど、いいんだって。魎が辛いと思わなくなるなら頑張るってさ」
「そう、なのか?」
「ホントだよ」
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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時