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桜魔皇国16日目【午後】 ページ2

「もう大丈夫?」
吉祥天が後ろから声をかける。
私は涙を拭いて、にっと笑って吉祥天を見た。
「あぁ、もう大丈夫だ」
それを見て、吉祥天は目を丸くした後笑った。

「また強くなったね、魎」
「あぁ、姫様に会えて本当に良かった…さあ行こう。正しい物語を取り返す旅に」
「おっけー、早速行こうか」
「あぁ」
私は振り返り、静かな藤士郎さんに言った。

「藤士郎さん、もう安心しろ、二百年後も私達がいるからな」
そう言って、私は二百年後の世界を出た。

交差点にて、吉祥天は言った。
「魎、二百年後の藤士郎くん、説得できる?」
「まぁ、正直不安はあるな」
「でも諦めないでしょ?そんな不安ごときで」
「当たり前だ。そう簡単には折れない」
それはよかったと吉祥天は笑って、鳥居の中に入った。

元の世界に戻って来ると、神社には都合よく藤士郎さんがいた。
黒闇天と一緒に話していた。
「藤士郎くん」
と吉祥天が声をかけた。
「あぁ吉祥天様、それに魎さんも。どこかにお出かけでしたか?」

「…姉君、行ってきたのですね」
「うん、ね?魎」
「あぁ、私は役割を知れたよ」
「役割?」

「藤士郎さん、二百年後に帰ろう。今の藤士郎を返して欲しいんだ」
「!」
藤士郎さんは目を丸くして、一歩後ずさった。
「どういう…」
「過去も未来も見てきた、こんな物語間違っている。そなたは幸せになれない」
「…嫌だ」

藤士郎さんは声を震わせて言った。
「嫌だ…!また一人になりたくない!景くんと晴くんと別れたくない!忘れたくない!ずっと…ここにいたい…」
「それでも!そなたがまた百年後、二百年後に孤独になる未来は変わらない!」
「…!」
「二百年後のそなたが、また2人に会いたいと思って歴史を繰り返すだけだ、意味もなく、進まないだけだ」

「進まなくていい!」
「進めと腕を引っ張ってくれたのは!そなただろう!」
「…あ」
「今を楽しめと言ってくれたのは、そなた達だろう!」
「それは…!」
「進みたくないと言っていた私を、進ませてくれたのは、進むことの素晴らしさに気付かせてくれたのは、そなた達だ」

「…でも僕は」
「安心しろ、私達がいるから。景さんと晴さんには劣る存在かもしれないが、支えれはする」
「藤士郎くん」
吉祥天は前に出て、藤士郎さんの震える手を握った。
「大丈夫、あなたは一人にはならないよ。たくさんの人に出会えるから。あなたの事を好いてくれる人はたくさんできるよ」

だから大丈夫と、吉祥天は笑った。

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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時

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