私幽霊らしいです【wrwrd!】 (ページ3)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:141,020 hit

１話ページ3

.

風呂から上がり、服を着て湿った髪をタオルで包む。

「お嬢様、私がやりましょうか？」

貴「このくらい自分でできるわ。ありがとう。」

後ろから話しかけてくるメイドに、鏡越しに返答する。

また、そうだ。

私がいくつになっても、この扱い。もう指をくわえているだけの赤子ではないというのに。

私は何もできないとでも思われているのかしら？

髪の毛を拭き終わり、部屋を出る。

すれ違う使用人たちは、みんな揃って頭を下げる。
頭を下げたいと心から思っているわけではないのにそうしないといけないのだから、使用人は窮屈なものね。
頭を下げないものがいたら、それもそれでどうかと思うけれど。

ここにいる者は、みんなお父様が雇っている。

貴族の使用人なんて、収入が高いしそれなりの地位も獲得できるから、喉から手が出るほど欲しいのよね？衣食住も安定するし。

まぁ、なんでもいいのだけれど。

「本日はお休みになられますか？」

部屋に入ろうとドアノブに手をかければ、後ろから話しかけられる。

私が唯一信用しているメイド、メアリーだ。
メアリーは、私が幼少期の頃から面倒を見ていてくれたメイド。今は、メイド長という立ち位置にいる。
まぁ、私専属メイドのようなものだが。

貴「えぇ、そうするわ。……いや、やっぱりやめましょう。車庫から2、3冊本を持ってきてくれないかしら？」

メ「あら、お部屋の本はもう全てお読みに？」

貴「そうよ。」

メ「流石はお嬢様ですね。」

貴「やめて頂戴。」

それでは、早急にお持ちいたしますね。
そう言って一つ礼をしてから、書庫の方へ歩いていくメアリーの後ろ姿を見送る。

早急に、なんて言っていたが、私はメアリーが途中で怪我をしないかが心配である。
メアリーもだいぶ歳だ。足を滑らせて階段から転落、なんてしたら、ころっと死んでしまうだろう。
まぁ、メアリーにとってそんなミス、ありえないことだが。

今夜は1時間ほど本を読んでから寝ましょう。

メアリーは果たしてどんな本を持ってきてくれるのだろうか、そんな淡い期待が、私の心を満たしていった。

分厚くてなかなか重い扉をおして中に入る。

「あ！お姉様！」

.