私幽霊らしいです【wrwrd!】 (ページ17)

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１５話ページ17

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わかる。
聞こえる足音。光に当てられる廊下。動悸、息遣い。

目を閉じれば、屋敷についた足跡が薄らと見えてくる。最初は三つ。今動いているのは二つ。
玄関の、扉の真前で一つ、足跡が途切れている。
もう、一人は手遅れだ。

全てが手に取るようにわかる。まるで、この屋敷が私の体になったみたい。

そんなおかしなことを考えながら、様子を見に行く。

思った通りだ。
体の一部だったものが離れたところにも転がっていて、おもわず咳が出る。

落ち着いて、深呼吸。まぁ空気なんて全て通り抜けてしまうから意味はないのだけれど。雰囲気よ雰囲気。

まだ二つ足跡は残っている。しっかり動いている。

二階の、書斎の前にある廊下。ディクリアがどこにいるかはわからないけれど、足跡は比較的ゆっくりと進んでいるから追われているわけでは無さそうだ。
なら、まだ私が逃せば間に合う。

階段を使って登るのも面倒な為、上へ飛び天井を通り抜ける。

この上が書斎の前の廊下近くだということは知っている。まぁ、足跡からは少し離れているが。

天井を通りぬければ、長い廊下に出た。男たちがこちらに背中を向けながら、懐中電灯を持ち向こうに向かって歩いている。

その姿を見てふと思い出す。

確かあの先は、床が湿気と建物の老化によって抜けていたはずだ。

懐中電灯を持っていると言っても、光はか細い。真っ暗な廊下の先を照らすことに集中しすぎて、床など照らさないかもしれない。

そうなれば、二階から一回に向けて真っ逆さまだ。もちろん下の瓦礫も片付けていない為、部品やら木やらがそこら辺に散乱して山のようになっている。

この屋敷から脱出する以前に、還らぬ人となってしまう。

流石に見て見ぬ振りはこの屋敷の主としてどうなのかと自分でも思う。

どうせなら助けてやろう。そして早くこの屋敷を立ち去ってもらおう。
窓からでも放り投げて下で風でクッションのようなものでも作っておけば死なないでしょう。
…そんな器用なことできる自信はないのだけれどね。何か？
骨折くらいで済むでしょ。反省しなさい反省。

軽く親指を下に向けたくなる衝動に駆られながらも、声を出した。

貴「貴方達、そっちは、」

「ぎゃあぁぁあぁぁぁぁあ！！！！」
「うわぁぁあぁぁぁぁあ！！！」

声をかけただけだというのに、大声を出し奥へと走っていってしまう。

その声は遠ざかり、やがて何かが落ちるような音とともに絶叫は聞こえなくなった。

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