私幽霊らしいです【wrwrd!】 (ページ14)

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１２話ページ14

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__ブォォォォン…。

そんな空気音が聞こえたと思ったら、男が何かに押し飛ばされたように出口の扉の方へ吹っ飛んだ。

まるでハイタッチをした時のようなぴりぴりとした衝撃のようなものが、掌全体から伝わってくる。
だが正直、そんな感覚なんてわからないほど困惑していた。

何、今の。
あの音。ブォォォンというあの音はきっと、風の音でしょう。天井のシャンデリアが少し音を立てたのが聞こえたわ。男が吹っ飛んだのは、風圧が原因かしら。

なに？これは。こんな力、あり得ないわ。

何かしら。幽霊じゃなくて、風の精霊になったとでも言いたいわけ？ふざけないで頂戴。そんなファンタジー。
幽霊だけでだいぶファンタジーか。

私もディクリアも、互いにその手を信じられないという顔で見ている。
数分たっただろうか。その沈黙を破ったのは、ディクリアだった。

ディ「……なにすんの、お姉様。お姉様のせいで逃がしちゃったじゃん。」

逃がした？
そう思ってディクリアにつられるように目線を扉の方へ動かせば、男はもうその場所に居なかった。

貴「…追えばいいじゃない。」

ディ「知らないの？私たちはこの屋敷の外に出られないんだよ。」

少し小馬鹿にしたような言い方に腹が立つ。知ってるのが当たり前なの？そんなわけないでしょ。ディクリアの方がお馬鹿さんね、自分が世界の全てだとでも思ってるのかしら。

貴「それを知ってるってことは、貴方はこの屋敷から出ようとしたのね。」

多少嫌味を込めながら睨めば、ディクリアは首を縦に振りさらっと肯定の意を示した。

ディ「当たり前じゃん。」

当たり前。
その言葉を聞きたくなかった自分がいた。
ぎゅっと、苦しい気持ちになる。

ここは、私たちクジェレーン家の思い出詰まった大切な屋敷。
そんな屋敷を愛する妹の形をしたもの(・・・・・・・)が出て行きたいなんて、悲しくなるに決まっている。

貴「…なら、さっさと方法を見つけて出ていくことね。」

冷たく言い放てば、ふっと軽く笑って「そのつもりって言ってんじゃん。」と横を向いた。
あぁ、もう私は一人なのね。

貴「ようやく、化けの皮が剥がれたわね。」

ディ「は？」

そう呟けば、その言葉を拾ったようで心底不思議そうな声でこちらを見るディクリア。

貴「貴方はもう、ディクリアじゃない。」

そう言って玄関ホールを後にした。
後ろからシャンデリアが落ちる音が聞こえたのは気のせいだ。多分。

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