正反対カップル.3 (ページ8)

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『悪いけど、私には付き合ってる人がいるの』

直樹「平野紫耀だろ？知ってるよ」

『じゃあなんで…』

直樹「Aのことが、まだ、ずっと好きだから」

『もういい、それ以上言わないで。ちゃんとマネージャーになって』

今度は私が泣きそうになった。
別にまだ直樹が想ってくれていたから嬉しくて
泣きそうになったわけじゃない。

この人と再会してしまった自分の運命を悲しんでるんだ。
紫耀と毎日幸せだったのに、いきなりすぎるよ。

直樹「Aは騙されてるよ。だってジャニーズだろ？女なんてたくさんいるに決まってる。Aが忙しいのを利用して浮気してるに決まってる」

『そんなことしない。紫耀はそんな人じゃない。紫耀のこと、悪く言わないで！』

直樹「だったら2番目でもいいから…平野なんて遊び人だよ？」

『いい加減にして！』

私は直樹の胸を力強く押した。

『あなたとは仕事の話しかしない。プライベートまで侵入してこないで』

直樹「……ごめん。言いすぎた」

だから、傷ついた顔しないでよ。
私には紫耀しかいないんだから。

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仕事が終わる頃、紫耀から1件のメッセージが届いていた。

紫耀［今日は自分の家帰るわ！］

ダメなのに…。
こんな気持ちになったらいけないのに…。
彼女として失格なのに…。

この一言を見たとき、一瞬よかったと思ってしまった。

だって、紫耀の前で泣いちゃうかもしれないから。
あんまり紫耀に迷惑かけたくない。

私は［わかった］とだけ送って電源を切った。

『はぁ…』

思わずため息が漏れる。
壁にもたれかかって、脳裏に浮かんだのは紫耀の笑顔だった。

直樹「Aさん、送ります」

『いい、タクシーで帰るから』

直樹「ダメです。送り迎えは絶対って言われたので」

『…わかった』

私は直樹の車に乗り込んだ。
直樹の匂いがする。
それだけで涙が出そうになった。

こんな私、おかしいよ。