前世なんて知ったこっちゃない【山崎退】

ひとつ屋根の下 山崎side ページ34

山崎side


「完全にやらかしました」

「なんだ、まーだ付き合ってなかったの」


あの後自分の起こした行動に耐えられなくなった俺は、Aさんを家に残して年末前の買い出しに来ていた。


抱きしめた時に突き飛ばすとかしてくれれば正気に戻れたかもしれない。

けれど、あの人は何も言わず黙っていて、顔までは見えなかったが髪から見え隠れしていた耳は真っ赤だった。
それを見てしまった俺としては、期待してしまう何かがあるわけで


結果悩んだ末、たまたま訪れたスーパーで手伝いをしていた万事屋の旦那にアドバイスを乞いているのだが...




「告白すりゃいいじゃん」

「話聞いてました？俺警察なんで未成年との交際は職業柄アウトになるんですよ」


「バレなけりゃ問題ねェだろ。
つかAが成人になるまであと1ヶ月ちょいなんだろ？んなの誤差の範囲内だ」



そう言ってソーセージの試食片手に親指を立てる旦那の意見も一理あるのかもしれないが、そんなコソコソ付き合っても良い気はしない。

最悪懲戒処分を食らうかもしれないし、そんな大きいリスクを抱えるくらいならあと少し俺が我慢すれば良いだけなのだが...



「そもそもAが告白の返事にOKくれるかなんて分かんねェしな。待つなら大人しく待っとけば？」



問題はこれなのだ。

もしAさんに振られたとしても、俺は諦められる気がしない。
前世でどれだけあの人のことが大好きか、痛い程思い知った。


ストーカー化してしまいそうだと自分自身で思うところもあるので、何とかブレーキをかけてはいるのだが、結果さっきの行動に出てしまった。


「つぅか、あいつの気持ちはどうなんだよ。聞いてみたの？」

「いや、それはまだ...」

「ハグしてる癖に言葉では聞けねェってか」


拗らせたやつはめんどくせぇ。とか聞こえるが全くもってその通りだとは思う。

俺の事をどう思っているかだなんて、今まで1度も聞いたことがなかったな。
これを機会に聞いてみるのもありなのかもしれない。



「今日、帰ったら聞いてみようと思います。
旦那ありがとうございました。あとその試食のソーセージ2パックください」

「うぃー、まいどあり」

センセーション→←あなたに首ったけ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す