＊ ページ7
・
「俺１年だよ？」
「ん？うん。知ってるよ？」
知ってるよ……。知ってるよ……。知ってるよ……。
エコーがかかったようにその言葉が俺の脳を巡る。
え、てことはもしかしてこの人、年上なのか！？
「ごめん、大ちゃんって何年？」
「俺？３年だけど……」
「３年……はぁえ！？」
まじかよ……。
まさかの年上だということが判明。
俺普通にタメ口使っちゃってたんだけど……。
「ごめん、いや、じゃなくてすみません。俺、てっきり同い年かと……」
「あぁ、大丈夫、大丈夫！もう慣れてるし」
優しく笑って「気にすんな〜」って言ってくれてるあたり、人柄の良さを感じる。
「そりゃ中々会わないですよね…」
「２年のときなら必修科目の講義とかで可能性もあったけどなぁ〜」
「そ〜ですねぇ……」
………………。
………………。
きっっっっっまず！
えぇー、もう、気まずい、気まずい、気まずいってぇ……。
なんか先輩って分かったら余計に下手なこと言えなくなったし、もう早くこの場から逃げたい……。
食べるものがなくなった目の前の皿を見つめながら、どうすべきか考える。
ふと、ちなみに隣はどうしてるのだろうか、と横目で見てみたら、にっこにっこの笑顔でこちらを見てきていた。
「え……なんすか？」
「んー、いや、今日山田と会えて良かったなぁって思って」
打算なんてない、純粋な言葉。
「……なんでですか」
「えー、だってほら、学年も違くて大学もこんなに広いのにもう一回会えるって結構凄くない！？」
「あぁ……」
分かるような分からないような……。
とりあえず適当に返事をしておく。
「てか、敬語なんて良いよ！むず痒いし、俺相手に敬語使うの山田も違和感あるでしょ？」
「いや、でもそういうわけには……」
「もー、真面目だなぁ。俺が良いって言ってんだからいいよぉ、別に」
「……じゃあ、そういうことなら」
やや強引に敬語をやめさせられたような気もしたけど、それも大ちゃんの優しさなんだと思う。
まだほんの少ししか話してないけど、段々とこの人の人柄を理解してきた。
少なくとも、悪い人じゃない。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 131人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はらぺこ | 作成日時：2023年3月12日 22時
