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結構な枚数を拾い集め終わり、とんとん、と紙を揃えてから渡すと、彼はそれを笑顔で受け取った。








「助かりました!ほんとにありがとう!時間、大丈夫?」




「あぁ、気にしないで」








早めに行動しておいて良かった。








「俺、有.岡大貴っていうんだけどさ、良ければこのあと一緒にご飯食べに行かない??

お詫びとお礼ということで奢るから!」








時間に対しての返答の“気にしないで”を、“このあとは用事がない”と捉えられたのかそんな誘いを受ける。








「えと、いや、俺3限出席しなきゃだから……」




「あ、そうなんだ!それじゃあまたの機会で是非行こう!連絡先、聞いてもいい??」








うわぁ〜、そういうタイプね……。








「あ、いや、えと、気持ちは嬉しいけど、ほんと大したことしてないし……。

それに、俺の不注意でもあるから気にしないで!

ほんと、大丈夫」








気持ちを表に出さないように、無駄に笑顔を作って返すと、彼は子犬のような寂しそうな顔をした。








「そっかぁ……。う〜ん、これ以上時間を取らせるわけにはいかないしね」




「ほんと気にしないでよ。それじゃ、っあ?」








颯爽とこの場を立ち去ろうとすると、腕をぐっと引っ張られる。

もう、なんなんだよ。








「名前!聞いてなかったと思って!」




「え、あぁ……。山田」




「名前……」








またさっきの子犬みたいなうるうるした目で聞いてくる。








「……涼介」




「山.田涼介……。うん、よろしく、山田!」








いや、名前で呼ばないんかい!

数秒前のやり取りはいらなかったじゃん……。



心の中で激しいツッコミをしておく。



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作者名:はらぺこ | 作成日時:2023年3月12日 22時

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